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点群データとは?LiDARとの違いと3Dモデル作成方法・活用事例を紹介!

3Dスキャンに欠かせない点群データを正しく理解して最先端ビジネスに挑戦!

点群データとは?LiDARとの違いと3Dモデル作成方法・活用事例を紹介!

3Dモデルの作成や自動運転、VR/ARアプリの開発など、さまざまな分野で注目されている「点群データ」。

本記事では、この点群データの基本からLiDARとの違い、さらに具体的な活用方法まで徹底的に解説します。

点群データとLiDARを活用して、最先端のビジネスに挑戦するための知識を深め、次のステップを踏み出しましょう。

点群データとは?

点群データとは?

3Dスキャン技術は近年急速に進歩しており、すでにさまざまな分野で実用化されています。

しかし、3Dスキャン技術を正しく理解するには「点群データ(point cloud)」について詳しく知っておく必要があります。

ここでは、点群データについて詳しく見ていきましょう。

なお、3Dスキャンについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

スキャナーや計測用カメラで取得された無数の点の集合体のこと

点群データとは、3次元空間における物体や環境の形状を正確に表現するために、3Dスキャナーや計測用カメラなどのデバイスを使用して取得される、無数の点の集合体です。

点群データの取得方法は、対象物に向けてレーザーや光を放射し、その反射時間や角度を測定することで膨大な数の点を取得します。これらの点を「点群(point cloud)」と呼び、この点の集まりが3Dモデルの基礎データとなります。

取得された点群データは、建物や地形、工場の設備など、さまざまな分野で利用され、現実世界をデジタル空間に再現するための非常に重要な要素です。

ノイズ除去やデータ処理が必要な場合もありますが、点群データは現場での測量や計測の効率化に貢献する技術です。

3次元座標(X, Y, Z)と色情報(R, G, B)を持つ

点群データは単なる位置情報だけでなく、各点が持つ詳細なデータを含むことが特徴です。

特に、3次元座標(X, Y, Z)は、各点の空間内での正確な位置を示します。これにより、物体や環境を立体的に表現できるのです。

また、多くの点群データには色情報(R, G, B)も含まれています。R(赤)、G(緑)、B(青)の値を持つことで、点群データは視覚的にリアルな物体の再現が可能になります。

例えば、建物や風景をスキャンする際、単に形状を捉えるだけでなく、表面の色まで忠実に反映することが可能です。この情報があることで、建築や設計の分野でより詳細な分析やシミュレーションが行えます。

主に3Dモデルを作成するのに活用される

点群データは、特に3Dモデルの作成において非常に重要な役割を果たします。

スキャンされた膨大な数の点の集合体は、建築物、地形、製品、さらには文化財のデジタル保存など、さまざまな物体や環境の詳細な3Dモデルを構築するために活用されます。

各業界の3Dモデル活用事例

業界 活用法 詳細
建築・土木 既存建物の3Dモデリング、BIMへの活用 既存の建物や構造物の3Dモデルを作成し、リノベーションや設計に活用
製造業 リバースエンジニアリング、設備のレイアウト検討 既存の製品や部品を3Dスキャンし、設計データとの比較や新しいラインの設計に使用
文化財保護 デジタルアーカイブ化、バーチャル展示 歴史的建造物や文化財をデジタル記録し、修復や保護のために活用
自動車・航空宇宙 品質管理、車両や飛行機のシミュレーション 製造された部品の誤差を分析し、車両や航空機のシミュレーションに利用
都市計画 デジタルツインの作成、災害復旧計画 都市のインフラや交通ネットワークを再現し、スマートシティや災害復旧に活用
エンタメ・ゲーム リアルな背景データ作成、AR/VRコンテンツの作成 現実の風景や建物をデジタル化し、ゲームや映画、AR/VRコンテンツに利用

このように、3Dモデルはさまざまな業界ですでに活用されており、その基礎ともいえる点群データの重要度は今後ますます高まっていくでしょう。

点群データとLiDARの違い

点群データとLiDARはそもそもまったく異なるものですが、3D関連技術は専門用語がかなり多いので混同されがちです。

両者ともに3Dスキャンにおいて欠かせない技術なので、違いを明確にしておきましょう。

LiDARはレーザー光を利用するリモートセンシング技術

LiDARは、レーザー光を利用したリモートセンシング技術の一種です。

レーザー光を物体に照射し、その反射光をセンサーで受け取ることで物体までの距離や形状を計測します。これにより、非常に精度の高い3D空間情報を取得することが可能です。

一方で点群データは、LiDARを含む3Dスキャン技術によって取得された結果のデータ形式を指します。

LiDARが取得するのは物体や空間の距離や座標データであり、そのデータを膨大な点の集まりとして表現したものが「点群データ」です。

つまり、LiDARはデータを取得するための技術であり、点群データはその取得結果のデータ形式という違いがあります。

まとめると、LiDARは3Dスキャン技術の一種であり、点群データはその技術を使って得られたデータのことです。

TOF方式やFMCW方式で距離を測定している

LiDARは、距離を測定するためにToF(Time of Flight)方式やFMCW(Frequency-Modulated Continuous Wave)方式といった技術を採用しているのが特徴の一つです。

両者ともにレーザー光の発射から物体に反射して戻ってくるまでの時間を計測する方法ですが、それぞれ異なる仕組みを持っています。

まずToF方式とは、レーザー光を発射し、その光が物体に当たり反射して戻ってくるまでの「飛行時間(Time of Flight)」を測定することで距離を計算します。

簡単にいえば、光が往復する時間を使って、LiDARセンサーと物体との距離を求める仕組みです。ToF方式は計算が比較的シンプルであるため、リアルタイムでの距離測定に適しています。

多くのLiDARシステムで採用されており、特に自動運転車やドローンでの障害物検知や環境のスキャンに利用されることが多いです。

FMCW方式は、レーザーの周波数を連続的に変調し、発射された光と反射して戻ってきた光の周波数差を使って距離を計測する方法です。

周波数差によって物体との距離だけでなく、相対速度も測定できる点が特徴です。

FMCW方式はより高精度な距離測定が可能で、動いている物体を検知する際にも強みを発揮します。そのため、自動運転技術や高度な測量システムなどで採用されることが多いです。

これらの方式により、LiDARは3D空間の詳細な情報を正確に取得でき、その結果として得られるデータが点群データとして扱われます。

活用する分野が違う

点群データとLiDARは、そもそも活用される分野が異なります。

LiDARは、主に「リアルタイムの環境認識」や「高精度な距離測定」を必要とする分野で利用されることが多いです。

自動運転車、ドローン、ロボット工学、災害対策などの分野では、動的な環境や複雑な地形をリアルタイムで把握しなければなりません。LiDARはレーザー光を使って素早く正確に距離を測定できるため、障害物の検出や回避、地形のスキャンに優れています。

一方、点群データは、主に「静的な3Dモデルの作成」や「高精度な形状再現」が必要とされる分野で活用されることが多いです。

建築や土木、製造業、文化財保護など、物体や建造物を精密にデジタル化して記録・解析する場面で点群データが利用されます。

例えば、建築業界では、既存の建物や地形を3Dスキャンし、その点群データをもとにBIM(Building Information Modeling)として設計や改修に活用します。

とはいえ、なかなかイメージがしづらい部分でもあるので、以下でLiDARの具体的な活用事例を見ていきましょう。

LiDARの活用事例①:自動運転

自動運転の分野でLiDARは、車両が周囲の環境を正確に認識し、安全な走行を実現するために非常に重要な技術です。

主な活用事例は以下のとおりです。

1. 障害物検知と回避

車両が障害物や歩行者をリアルタイムで検知し、安全に停止・回避するために使用されます。特に、カメラやレーダーが苦手な暗所や悪天候でも高精度な検出が可能です。

2. 3D環境モデリング

車両周囲の道路、建物、車線、標識などの情報を3D点群データとして取得し、リアルタイムで環境をモデリングします。これにより、自動運転車が正確なルートを選択可能になります。

3. 他のセンサーとの連携による全方位認識

ミリ波レーダーやカメラと連携して車両の周囲を把握し、天候や環境に応じた最適な認識を実現します。

なお、現状では自動運転は試験段階にありますが、360度全方位のスキャンが可能な回転型LiDARではなく、量産を意識したソリッドステート型が主流になりつつあります。

LiDARの活用事例②:建設現場での測量

LiDARは、建設現場の測量において非常に効果的な技術として活用されています。

レーザー光を使って周囲の環境を3Dスキャンし、短時間で高精度な点群データを取得することができるため、従来の手作業による測量と比較して精度や効率が大幅に向上します。

主な活用事例は以下のとおりです。

1. 複雑な現場での正確な測量

建設現場では広大な敷地や配管が入り組んだ工場など、測量が難しい場所でLiDARが有効です。LiDARは遠隔から広範囲の環境を3Dスキャンできるので、短時間で詳細なデータを取得できます。

2. アクセス困難な場所での測量

高所や狭い場所、障害物が多い現場でもLiDARを使用することで測量が可能です。天井や高所にある設備の高さや位置を正確に測定し、点群データとして取得することができます。

3. BIMとの連携

BIMとの連携により、設計図面と現場の状況を比較し、ズレを早期に発見できるため、ミスを防止し、工期を短縮する効果が期待されます。

このように、LiDARは建設現場の測量で広く活用されており、建築プロジェクト全体の品質と生産性を向上させています。

LiDARの活用事例③:VR/ARアプリの環境マッピング

LiDARは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の分野でも、その高精度な距離測定能力を活用して、リアルな空間をデジタル化するために広く利用されています。

具体的な活用方法は以下のとおりです。

1. リアルタイムの空間認識

LiDARは、周囲の物体までの距離をレーザーで測定し、即座に3Dマップを作成可能です。これにより、ARデバイスやスマホがリアルタイムで空間を把握し、仮想オブジェクトを現実の環境に正確に配置できます。

2. 奥行き認識と被写体検出

LiDARを使用することで、カメラアプリは物体の奥行きを正確に認識できるようになり、背景をぼかしたり、仮想のフィルターを適用したりする際に、被写体を正確に切り取ることが可能です。

3. VR空間の構築

LiDARは仮想空間を構築するのにも使用されます。これにより、現実の建物や景観を忠実に再現した没入感の高いVR体験が可能になります。

このように、LiDARを使うことでVR/ARの体験がより没入感のあるものとなり、ユーザーにとって直感的で精度の高い体験が可能になるのです。

点群データの主な取得方法6つ

点群データの主な取得方法6つ

点群データの取得方法にはさまざまな方法がありますが、主流になっているものは以下の6つです。

  1. レーザースキャナー
  2. 超音波
  3. ドローンカメラ(UAV)
  4. モバイルマッピングシステム(MMS)
  5. 国土交通省などの公共機関の公表データ
  6. SLAM(スラム)

それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。

①レーザースキャナー

1つ目の点群データの取得方法は、レーザースキャナーから直接取得する方法です。

現在もっとも一般的な取得方法であり、建築、土木、測量などの多様な分野で広く利用されています。

レーザースキャナーの動作原理は、レーザーを対象物に向けて照射し、その反射をセンサーが受け取ることで対象物までの距離を計測するというものです。

レーザースキャナーの主な特徴

  • 1秒間に数百万のデータポイントを取得でき、非常に詳細な3Dモデルが作成可能
  • スキャナーを一箇所に設置して360度の範囲を一度に測定できるため、効率的にデータを収集可能
  • 一部のエリアは見えない場合があるため、物体の異なる角度から複数回スキャンすることで全体をカバー

レーザースキャナーのメリットは、その精度の高さと効率性にあります。特に複雑な形状の対象物に対しても正確に形状を取得できるため、リノベーションや文化財の保存といった場面で重宝されます。

②超音波

2つ目の点群データの取得方法は、超音波(音響測深)によって取得する方法です。

超音波測定では、ソナー(音響ビーム発射装置)を使って水中などに音波を発射し、反射して戻ってくるまでの時間を測定して距離を計算します。

超音波の主な特徴

  • マルチビームソナーでは、単一の測深器と比べて広範囲を一度に計測でき、効率的にデータを収集できる
  • 0.5度の狭いビーム幅を持つ装置などを使うことで、非常に高解像度のデータが得られる
  • 海洋、河川、ダム湖などの水中で利用されることが多く、堆積物や人工構造物の調査にも適している

超音波を利用した方法は、従来の測定方法と比較して、より精度の高い水中データを短時間で取得できるため、海洋調査や港湾施設の管理など、幅広い用途に活用されています。

③ドローンカメラ(UAV)

3つ目の点群データの取得方法は、ドローンカメラ(UAV)を使用する方法です。

ドローンカメラを使った点群データの取得には、主に「空中写真測量」と「レーザースキャナー搭載型ドローン」の2つの方法があります。

空中写真測量では、ドローンにカメラを搭載し、広範囲の写真を撮影します。

その後、写真を解析ソフトに取り込み、SFM(Structure from Motion)技術を使用して各写真の座標や位置データを統合し、3Dの点群データを生成するのが一般的です。

レーザースキャナー搭載型ドローンでは、ドローンにレーザースキャナーを搭載し、レーザーで地形や構造物をスキャンします。

対象物に反射して戻るまでの時間を計測することで物体までの距離を計算し、そのデータを元に高精度な3D点群データを作成します。

ドローンカメラの主な特徴

  • 上空から広範囲のエリアを一度にカバーでき、アクセスが難しい場所や危険な場所でも安全にデータを収集できる
  • レーザースキャナー搭載ドローンは、特に密集した森林地帯や複雑な地形でもデータを取得でき、空中写真測量では捉えられないエリアもカバーできる
  • 人力による測量やヘリコプターによる空撮に比べてコストを抑えつつ、効率よくデータを集められる

ドローンによる点群データ取得は、建設現場、災害復旧、都市計画、農業など、さまざまな分野で活用されており、今後もその利用が拡大していくと考えられます。

④モバイルマッピングシステム(MMS)

4つ目の点群データの取得方法は、モバイルマッピングシステム(MMS)を使用する方法です。

モバイルマッピングシステム(MMS)は、車両に取り付けたレーザースキャナーやカメラ、GNSS(グローバルナビゲーション衛星システム)などの測定装置を使用して、移動しながら周辺の3次元データを取得します。

車両が走行する際にレーザーが周囲の対象物に照射され、その反射から距離を計測し、対象物の3D座標を取得する仕組みです。

モバイルマッピングシステムの主な特徴

  • 移動しながらの広範囲計測でデータを収集できるため、特に道路や都市部の測量に適している
  • GNSSとIMU(慣性計測装置)を組み合わせて車両の位置と姿勢を高精度に追跡し、取得した点群データの正確な位置を確保する
  • 固定型レーザースキャナーやドローンでは対応が難しい複雑な都市部や狭い道路でも、車両が通行できる場所であれば計測が可能

MMSは特に、i-Constructionやスマートシティプロジェクトにおけるデジタルツインの構築など、最新技術と組み合わせた活用が進んでいます。

⑤国土交通省などの公共機関の公表データ

5つ目の点群データの取得方法は、国土交通省などの公共機関が公表しているデータを利用する方法です。

日本の公共機関、特に国土交通省や国土地理院などは、全国のインフラ管理や災害対策のために取得した点群データを公開しています。

公共機関の公表データの主な取得方法

1. 国土数値情報ダウンロードサイト

国土数値情報ダウンロードサイトでは、全国の点群データや地形情報が無料で提供されています。

地形、土地利用、人口など、さまざまな分野における数値データが取得でき、学術研究や企業のプロジェクトなどで広く利用可能です。

2. MMSデータ提供サービス

日本デジタル道路地図協会では、MMS(モバイルマッピングシステム)を活用して取得した道路の点群データを公開しています。

提供されるデータは直轄国道の約9,000kmの範囲で取得されたもので、今後もデータの範囲が拡大される予定です。なお、これらのデータを利用するには提供機関に利用申請を行い、許可を得る必要がある点に注意してください。

⑥SLAM(スラム)

6つ目の点群データの取得方法は「SLAM(Simultaneous Localization and Mapping、スラム)」を使った取得方法です。

SLAMとは、簡単にいえば移動体が自分の位置をリアルタイムで推定しながら、同時に周囲の環境を3Dでマッピングする技術です。

この方法では、主にLiDARやカメラ、IMU(慣性計測装置)といった複数のセンサーを使用して、点群データを取得します。

SLAMでの点群データ取得手順

  1. 移動するロボットやドローンに搭載されたLiDARやカメラが、周囲の環境をスキャンして点群データを生成
  2. 収集したデータは不要な点を除去したり、データ量を圧縮したりする処理が行われる(※これをフィルタリング、ダウンサンプリングという)
  3. 各地点で取得した点群データをつなぎ合わせ、広範囲な環境の地図を生成

SLAMは、自動運転やロボットのナビゲーション、建設現場での3D測量などの分野で利用されることが多い取得方法です。

点群データで3Dモデルを作成する手順

点群データを取得した後は、そのデータをもとに3Dモデルを作成していくことになります。ここでは、点群データで3Dモデルを作成する手順を解説します。

①各種測量装置を使ってデータを取得

点群データを作成するにはまず、各種測量装置を使用してデータを取得しなければなりません。

主に使用されるのは、3Dレーザースキャナーやドローン、モバイルマッピングシステム(MMS)などの装置です。

これらの装置は、レーザーを対象物に照射し、反射した光の時間差を測定することで、X, Y, Zの3次元座標を取得します。こうして、対象物や地形の詳細な形状を点の集まりとしてデータ化します。

航空レーザーや地上レーザーなど、取得方法は用途に応じて選択することになりますが、いずれも精度の高い測量が可能です。

②不要なデータ(ノイズ)を除去

測量装置で取得された点群データには、しばしば不要なデータ(ノイズ)が含まれています。こういったノイズは、測定中に移動した物体や環境による乱反射などが原因です。

ノイズが多いと3Dモデルの精度が低下するため、ノイズ除去は必ず行わなければなりません。

ノイズ除去には専用のソフトウェア(例:SCENEやRealworks)を使って、データのクリーニングを行うのが一般的です。自動化ツールも出てきてはいますが、精度を求める場合は手動での確認も必要です。

③データの位置合わせと合成

点群データは複数の視点や測定機器から取得された場合、それらを正確に位置合わせし、合成する必要があります。

位置合わせとは、各データセットの座標をもとに、同一の基準座標系でデータを結合するプロセスです。これにより、全体を一つの統合データとして扱えるようになります。

特に大規模なプロジェクトや複雑な地形の場合、複数のスキャンが必要なため、この位置合わせの正確さが3Dモデルの精度に直接影響します。

④メッシュデータに変換

位置合わせが完了した点群データは、そのままでは3Dモデルとして使用できないため、メッシュデータに変換します。

メッシュデータとは、点群データをもとに点と点を線で結び、三角形や四角形などの多角形(ポリゴン)で構成されたデータです。

このデータ変換により、3Dモデルの形状が視覚的に分かりやすくなり、表面のディテールが明確になります。なお、専用ソフトウェアを使用して頂点の数を増やすことで、さらに精度を高めることが可能です。

⑤3Dモデリングツールを使ってモデルの最適化

メッシュデータに変換した後、最終的な仕上げとして3Dモデリングツールを使ってモデルを最適化します。

このステップでは、滑らかな曲面を表現するためにサーフェスデータに変換したり、メッシュのディテールを調整して形状をよりリアルに仕上げたりします。

また、不要な部分を削除したり、全体のサイズや形状を微調整したりする必要もあります。

代表的な3Dモデリングツール

  1. InfiPoints:CADとの連携が強力で、工場設備や機械部品の設計に役立つ
  2. SCENE:FARO製レーザースキャナー向けで、VR環境でのデータ評価やクラウド共有が可能
  3. Leica Cyclone 3DR:建築や土木分野での自動処理に強みがあり、簡単に3Dモデルが作成可能
  4. Geomagic Design X:リバースエンジニアリングに特化し、点群データから精密なCADモデルを作成
  5. Autodesk Civil 3D:点群データを基にしたCAD変換が得意で、BIMに対応

それぞれのツールごとにできることがかなり変わってくるので、用途にあったものを選択する必要があります。

点群データの活用におすすめのメーカー

点群データの活用におすすめのメーカー

最後に、点群データを活用するのにおすすめのメーカーをご紹介します。

Unity Technologies社

Unity Technologies(通称ユニティ)社は、ゲームエンジンの開発を中心に、3D・リアルタイム技術を提供する世界的企業です。

近年では、エンターテイメント分野を超え、製造、建築、医療、トレーニングなどの産業分野にも幅広く展開されつつあります。

特に「Unity Industry」は、点群データを扱う際におすすめのプラットフォームです。

Unity Industryは、製造、建設、エネルギーなどの産業分野に特化して設計されており、デジタルツインの作成や複雑なシミュレーションが可能です。

点群データをリアルタイムで処理し、建設現場や工場の運営に役立つデジタルツインを作成することで、リアルタイムで状況把握やプロジェクトの進捗管理が行えます。

また、Pixyz Pluginを使用することで、40種類以上の3D、CAD、BIMファイルをUnityにインポートし、軽量化して扱うことも可能です。

Unity Industryについての詳細はこちらのリンクから確認してください。

NVIDIA社

NVIDIA(エヌビディア)社は、アメリカの半導体メーカーであり、特に高性能なグラフィックプロセッサ(GPU)のシェアで世界一位を誇る企業です。

同社は半導体だけでなく、3D設計プラットフォームの開発にも力を入れており、「NVIDIA Omniverse(オムニバース)」が代表的な製品です。

NVIDIA Omniverseは、NVIDIAの高性能GPUを活用し、大規模かつ複雑なデータセットをリアルタイムレンダリングする能力に秀でているため、点群データの可視化や解析に最適です。

また、異なる業界やツールで作成されたデータを統合し、リアルタイムでのコラボレーションやシミュレーションを可能にします。

ユーザー同士が異なる3D設計ソフトウェアを使用しても、1つの統一された仮想空間で共同作業できるため、プロジェクトの効率を大幅に高められます。

さらに、Pixar Hydra Rendererや、AIを活用した自動モデリングツールAudio2Faceなど、3Dコンテンツ生成に便利な機能が多数備わっており、クリエイターやデザイナーにとって非常に使いやすいプラットフォームです。

なお、NVIDIA Omniverseのユースケースについては、こちらのリンクからご確認ください。

Leica Geosystems社

Leica Geosystems社は、点群データの活用において特におすすめのメーカーです。約200年にわたる歴史を誇り、測量・土木・建設など、多岐にわたる産業で高精度のソリューションを提供し続けています。

Leica Geosystems社の強みは、最新技術を駆使した高精度な測定機器と洗練されたソフトウェアです。

例えば、同社の「Leica RTC360」は、1秒間に最大200万点のデータをスキャンでき、広範囲の点群データを迅速に取得可能。また、専用のソフトウェア「Leica Cyclone」は、スキャンデータの処理を効率的に行い、3Dモデル化や解析をサポートします。

もちろん、レーザースキャナーや3Dサーベイランスシステムなども提供しているので、詳しくはこちらのリンクからご確認ください。

Matterport社

Matterport社は、点群データの活用において非常におすすめのメーカーです。

同社は手軽に高精度なデジタルツインを作成できるプラットフォーム「Matterport」を提供しており、建設、不動産、保険業界をはじめ、さまざまな分野で活用されています。

同社のカメラ製品、特に「Matterport Pro3」は屋内外を問わず高精度でスピーディなスキャンが可能です。

Pro3は最大100mの距離を正確にスキャンでき、広範囲の点群データを効率的に取得できます。LiDAR技術を搭載しているため、さまざまな照明条件や反射面でも精度を保ち、3Dモデルを簡単に生成可能です。

また、Matterportはクラウドベースのプラットフォームも提供しており、スキャンしたデータを瞬時に共有し、複数のチームでコラボレーションできる点も大きなメリットです。これにより、現場に出向かなくてもリモートでの管理やプランニングが可能になります。

Matterport社の製品ラインナップは、こちらのリンクからご確認ください。

Innoviz Technologies社

Innoviz Technologies社は、LiDAR技術の世界的なリーダーで、特に自動車業界において大きな信頼を得ています。

同社のLiDARセンサーと認知ソフトウェアは、BMWやフォルクスワーゲンをはじめとする主要自動車メーカーに採用されており、精度の高い3Dデータと安全性を両立しているのが特徴です。

自動車以外の産業、例えばスマートシティ、産業用ドローン、セキュリティ分野にも展開しており、さまざまな業界での点群データの活用に対応しています。

また、同社のLiDARセンサーであるInnovizTwoは、最大300mの距離での高精度なデータ取得が可能で、複雑な環境でも正確な3Dモデルを構築可能です。

InnovizのLiDAR技術は、自動車業界のTier-1サプライヤーとして、世界の主要企業に採用されており、商業および産業の分野においても幅広く利用されているため、高精度の点群データを必要とする企業は検討して損はありません。

Innoviz Technologies社のLiDAR製品についてはこちらのリンクからご確認ください。

点群データを活用して最先端ビジネスに挑戦しよう!

本記事では、点群データの基本概念から取得方法、LiDARとの違い、さらに3Dモデル作成手順や活用事例まで、幅広く解説しました。

点群データは、建設、自動運転、VR/ARなど、さまざまな分野で応用されており、その活用範囲はますます広がっています。特に、LiDAR技術との組み合わせは、正確なデータ取得とリアルタイムの環境認識において大きな可能性を秘めています。

今後、点群データの活用はさらに進んでいき、デジタルツインやスマートシティの構築など、現実世界と仮想空間をつなぐ重要な役割を果たすでしょう。ビジネスの最前線でこの技術を取り入れることで、効率の向上や新しいサービスの創出が期待されます。

なお、点群データの活用法が分からないという方はぜひ一度アスクまでご相談ください!

株式会社アスクは、個々のニーズに応じたソリューションを提供する総合商社です。多くの世界的リーディングカンパニーとパートナーシップを結んでおり、それぞれの目的に応じた最適なソリューションをご提案しています。

ご相談は無料で承っておりますので、点群データの活用にお困りならぜひこちらのリンクから一度お問い合わせください。

監修者:麻生哲

明治大学理工学部物理学科を卒業後、ITベンチャーにて多数のプロジェクトを成功に導く。子会社を立ち上げる際には責任者として一から会社を作り上げ、1年で年商1億円規模の会社へと成長させることに成功。現在は経験を活かし、フリーランスとしてコンテンツ制作・WEBデザイン・システム構築などをAIやRPAツールを活用して活動中。

※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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