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生成AIとは?AIやLLMとの違いから4つの種類、有名サービス7選と活用事例を紹介!

生成AIの力でビジネスをリード!メリットと活用事例で学ぶ成功の秘訣!

ノートパソコンの上にスマホのAIチャットを表示している画像

「ASI(汎用人工知能)は10年前後で完成する。これからの10年は、全ての常識が変わることになる」

2024年6月21日、ソフトバンクグループ株主総会で孫正義会長はこう語りました。

2022年11月30日にChatGPTがOpenAIによってリリースされ、2024年現在では生成AI(Generative AI)に代表される人工知能は世界的ビジネストレンドとなっています。

そこで本記事では、生成AIとは何か、代表的な生成AIサービス、活用法やメリットについて詳しく解説します。生成AIは確かにリスクも抱えてはいますが、効率的に活用することでビジネスを革新する可能性を秘めている技術です。

本記事を通じて生成AIを正しく認識し、きたる生成AI新時代に備えましょう。

生成AI(Generative AI)とは

スマホでAIチャットボットを表示している人の手

生成AI、またはGenerative AIとは人工知能の一種で、新しい情報やデータを生成する技術を指します。

本題に入る前に、まずは生成AIとはそもそも何なのかと、間違えやすい関連用語との違いを明確にしておきましょう。

AI(人工知能)との違い

生成AI 一般的なAI(人工知能)
定義 画像、文章、音楽などのコンテンツを生成するAI さまざまなタスクを実行し、問題を解決するAI
主な用途 コンテンツ生成 データ分析、予測、分類、認識(例:Siri、AlphaGo)
アーキテクチャ 生成モデル(例:GPT、VAE、GAN) 多様なモデル(例:ニューラルネットワーク、決定木 など)
トレーニングデータ 大量のテキスト、画像、音楽などのコンテンツ 特定のタスクに関連するデータセット
ChatGPT、DALL-E、MidJourney など Siri、Google Assistant、AlphaGo、IBM Watson など

生成AI(Generative AI)と間違えやすいのが「AI(Artificial Intelligence、人工知能)」です。

AI(人工知能)とは、コンピュータシステムが人間のような知能を持つことを目指した技術全般を指します。

機械学習を用いてデータを学習し、パターンを見つけ出す技術で、例えば画像認識や音声認識などに活用されるのが一般的です。

対して生成AI(Generative AI)は、AIの中でも特に「生成(Generate)」に特化した技術を指します。

例えば、要約した文章や会話を文字起こししたり、画像や動画などのコンテンツを生成したりすることができます。

このように、生成AIは従来の一般的なAIではできなかった「本来人間がやるべきコンテンツの生成」ができてしまうのです。

生成AIと識別系AIの違い

生成AI(Generative AI) 識別系AI
定義 データを学習し、新しいデータや情報を創出するAI 学習したデータをもとに、新たなデータがどのカテゴリに属するかを判別・分類するAI。
主な機能 テキスト生成
画像生成
音楽生成
動画生成
物体認識
テキスト分類
顔認識
応用例 文字起こし
画像生成
音楽作曲
ゲーム開発
画像内の物体識別
スパムメールフィルタリング
感情分析
特徴 新しい情報やデータを生成し、創造的なタスクを 既存の情報やデータを分析し、カテゴリ分けや判別を行う。

AI(人工知能)をさらに細分化すると、識別系AIという分類のAIも存在します。識別系AIとは、学習したデータをもとに、新たなデータがどのカテゴリに属するかを判別・分類する技術です。

例えば、画像内の物体を認識する際などに利用されるのが一般的な利用法になります。生成AI(Generative AI)との主な違いとしては、生成AIが新しいコンテンツを「生成」するのに対し、識別系AIは既存の情報を「識別」する点にあります。

RPAとの違い

「自動化」という意味合いでは、RPA(Robotic Process Automation)も生成AI(Generative AI)と間違えやすい技術です。

RPAとは、繰り返しの多い定型業務(ルーティン)を自動化するための技術です。主にビジネスプロセスにおける効率化を目的に活用されます。

例えば、大量のデータをシステムに入力したりする際や、簡単な会計や請求書処理などに使用されるのが一般的です。つまり、RPAはAIに位置付けられることもありますが、どちらかというと「自動化ツール」に分類されます。

定型業務を自動化した結果が出力されるので、コンテンツを生成しているように思えますが、あくまでも一部の作業を事前にインプットしたプログラムをもとに処理しているだけです。

生成AIのように、学習したデータセットをもとに新しいコンテンツを生成することはありません。

LLM(大規模言語モデル)との違い

LLM(大規模言語モデル)と生成AI(Generative AI)はそもそも全く違う概念ですが、密接に関連しているため、混同してしまう人も多いです。

LLM(大規模言語モデル)とは、AI技術の一種で、特にNLP(自然言語処理)に特化した「AIモデル」です。専門用語が多くて混乱してしまうかもしれないので、一つひとつ噛み砕いていきましょう。

まずNLP(自然言語処理)とは、AIに人間の言葉を理解させて処理する技術のことです。例えば、スマホの音声アシスタントがあなたの質問に答えたり、文章の意味を理解したりするのはこのNLPのおかげです。

LLM(大規模言語モデル)は、このNLPを使って大量のテキストデータを学習し、人間のように自然な文章を生成したり理解したりします。簡単にいうと、LLM(大規模言語モデル)は非常に賢い文章生成プログラムで、人間の言葉を理解し使うことが得意です。

生成AIの種類4つ

生成AIにはさまざまな種類が存在し、それぞれ異なる領域で活用されます。

本セクションでは、生成AIの主な種類、すなわち画像生成AI、テキスト生成AI、動画生成AI、音声生成AIについて、それぞれの特徴や用途、機能を深掘りしながら見ていきましょう。

①画像生成AI

画像生成AIは、人工知能がテキストやデータからリアルな画像を生成するAIです。

主に広告制作、ゲームデザイン、医療イメージングなどの分野で活用されています。

例えば広告業界では、ユーザーの興味や行動に基づいて効果的なビジュアルコンテンツを生成し、ターゲットオーディエンスの注意を引くことが可能です。

また医療分野では、診断支援のために、患者の医療データから詳細な画像を生成する際などに活用されています。

画像生成AIは、高品質でリアルな画像を迅速に生成できる点が最も大きな特徴であり、時間とコストの削減およびクリエイティブな活動に時間を割けるようになるのが最も大きいメリットといえるでしょう。

②テキスト生成AI

テキスト生成AIは、学習したデータをもとに、新しいテキストコンテンツを生成するAIの一種です。

特に、ビジネス領域でのコミュニケーションやコンテンツ制作の効率化に貢献しています。

例えば、ChatGPTやGeminiなどの生成AI系サービスでは、ユーザーが入力したテキスト(プロンプト)に対して、自然な形で応答を生成して対話を行うことが可能です。

テキスト生成AIの登場により、カスタマーサポートの自動化やマーケティング文案の作成など、さまざまなタスクが効率的に行えるようになりました。

またこれらのサービスは、クリエイティブなアイデアの発想や新しいデザインの提案など多岐にわたる用途で活用されており、ビジネスの多様なニーズに応える形で多くの応用例が生み出され続けています。

③動画生成AI

動画生成AIは、テキストや画像データをもとに、自動的に動画コンテンツを生成するAIを指します。

例えば、ニュース記事やブログの内容をもとに、視覚的に分かりやすい動画を短時間で作成することが可能です。ほかにも、企業のプロモーション動画や教育用の動画制作などにも利用されています。

動画生成AIの最大のメリットは、専門的な動画編集スキルが不要であり、効率的に高品質な動画を生成できる点にあります。

これにより、時間とコストを大幅に削減することができるのです。

④音声生成AI

音声生成AIは、テキストから人間のような自然な音声を生成するAIです。

この種類のAIは、ニュースの読み上げやオーディオブックの制作、音声アシスタントとしての利用など、多岐にわたる用途で活躍しています。

特に、視覚障害のある方々のための読み上げサービスや、多言語に対応したガイドブックとしての活用法が注目されました。

音声生成AIを活用するメリットとしては、高品質な音声を効率よく生成できること、人の声を模倣することで、より自然で心地よい音声を生成できることです。

これにより、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上や、アクセシビリティの確保が期待できます。

代表的な生成AI系サービス7選

「AI元年」とも呼ばれた2023年度は、国内外を問わずさまざまな生成AI系サービスが発表された年でもありました。細かなものも含めると、現時点で数百種類以上の生成AI系サービスが登場しているともいわれています。

そのため、生成AI系サービスをビジネスに活用する際には、どのサービスを利用すればよいのか分からない方も多いでしょう。

そこでここでは、2024年7月時点で代表的な生成AI系サービスを7種類ピックアップしてご紹介します。

①ChatGPT(GPT-4o)|生成AIブームの火付け役

正式名称 ChatGPT
開発元 OpenAI
リリース日 2022年11月30日(GPT-3.5)
2023年3月(GPT-4)
2024年5月(GPT-4o)
ジャンル 対話型AI
言語モデル GPT-3.5、GPT-4、GPT-4o
無料利用の可否 可能
有料プラン ChatGPT Plus:月額20ドル
ChatGPT Team:月額30ドル/ユーザー(※年額25ドル)
ChatGPT Enterprise:個別見積もり
公式サイト https://openai.com/chatgpt/

ChatGPTは2022年11月末にOpneAIによってリリースされた対話型生成AIです。

生成AIブームの火付け役としても有名で、現状では生成AI市場における最も一般的なサービスといえるでしょう。

ChatGPTでできること

  • 人間のような自然な対話
  • 100以上の言語に対応した高精度の翻訳
  • ドキュメント作成やレポートの自動生成
  • プログラミングのヒントやデバッグのサポート
  • 長文の要約または文字起こし
  • テキストデータから感情や意図を分析(マーケティングサポート)
  • 画像生成
  • メールの自動作成またはカスタマーサポートの自動化

なお、ChatGPTは2024年5月13日より「ChatGPT-4o(フォーオー)」にバージョンアップしました(※GPT-4oはGPT-4 omni(オムニ)の略)。

GPT-4oでは、生成速度が従来モデルと比較して段違いに速くなったのはもちろんのこと、以下の機能が追加されました。

ChatGPT-4oでできるようになったこと

  • 音声によるリアルタイム対話
  • 同時通訳機能
  • 動画や画像と音声のマルチモーダル対応(画像/動画認識+音声認識)
  • 日本語のテキスト生成や翻訳精度が向上
  • MacOS向けのデスクトップアプリの追加
  • APIの強化

現状の生成AI系サービス市場は、ChatGPTの独壇場ともいえる様相を呈しており、今後しばらくはこの状況が続くことになるでしょう。

②Gemini 1.5(旧Bard)|GoogleのマルチモーダルAI

正式名称 Gemini 1.5
開発元 Google DeepMind
リリース日 2023年
ジャンル 対話型生成AI
言語モデル Gemini
無料利用の可否 可能
有料プラン Gemini Advanced(2,900円/月額)
公式サイト https://deepmind.google/technologies/gemini/

「Gemini 1.5」は、Googleが開発した最新の生成AIモデルであり、マルチモーダル(テキスト、コード、画像、音声、動画)に対応する生成AIサービスです。

Gemini 1.5でできること

  • テキスト、コード、画像、音声、動画の統合処理(マルチモーダル処理)
  • 最大100万トークンのデータを一度に処理
  • 大規模なコードやデータから問題を検出して解決策を提示
  • さまざまな形式のファイルをアップロードして分析
  • APIや外部ツールを利用して複雑なタスクを実行
  • コンテンツの安全性と倫理的な配慮を強化する機能を強化
  • 複数の言語に対応した高精度な翻訳や言語理解
  • 長文データの理解と要約または文字起こし
  • 画像および動画解析

Gemini1.5とChatGPT-4oは細かいパラメータの違いはあれども、一般的なユーザーが利用する上では、できること自体にそこまで違いはありません。

ただし、Geminiの一番の強みは「Google」が開発しているということです。

Googleが提供するサービスはすでに私たちの生活に当たり前のように根付いており、今後こういったサービスにGeminiが統合されることで利便性が格段に向上する可能性もあります。

ネットやSNSの評判を確認してみると、現状ではChatGPTのほうが評価は高い印象ですが、今後次第でいくらでも化ける可能性を秘めています。

③Microsoft 365 Copilot|Officeツールと生成AIを連携

正式名称 Microsoft 365 Copilot
開発元 Microsoft
リリース日 2023年11月1日(企業向け一般提供開始)
ジャンル AIアシスタント
言語モデル GPT-4 Turbo
無料利用の可否 無料利用不可
有料プラン Microsoft 365の各種有料プランにより異なる
公式サイト https://adoption.microsoft.com/ja-jp/copilot/

Microsoft 365 Copilotは、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、TeamsなどのMicrosoft 365アプリケーションに統合されたAIアシスタントです。

Microsoft社はChatGPTのOpenAIとパートナーシップを結んでおり、統合されるAIモデルもChatGPTのモデルを採用しています。

Microsoft 365 Copilotでできること

  • Wordでの機能:文章生成と編集や要約と提案
  • Excelでの機能:データ分析やピボットテーブル・マクロの自動作成
  • PowerPointでの機能:プレゼンテーションスライドの自動作成やデザインの提案
  • Outlookでの機能:メール管理や返信文の下書きの自動作成
  • Teamsでの機能:会議の要点をリアルタイムで要約、チャットの管理も可能
  • その他の機能:画像生成、複数デバイスでのマルチタスクサポート

なお、2024年6月18日には、Microsoft 365 Copilotが搭載された新しいSurfaceデバイス「Copilot+ PC」が発表されています。

そのため、今後のWindowsPCにはMicrosoft 365 Copilotが搭載されるモデルが増えてくるでしょう。

④DALL·E 2(ダリツー)|ChatGPTに搭載されたことで話題

正式名称 DALL·E 2
開発元 OpenAI
リリース日 2022/04/01(2023年6月にChatGPTに搭載)
ジャンル 画像生成AI
トレーニングモデル 深層学習モデル(GPT-3.5とCLIPをベース)
無料利用の可否 基本的に有料(※無料トライアルあり)
有料プラン OpenAIの有料プラン(ChatGPT Plus、Enterprise)
公式サイト https://openai.com/index/dall-e-2/

DALL·E 2(ダリツー)は、OpenAIが開発した画像生成AIで、入力されたテキストに基づいてリアルな画像を生成できます。

2023年6月からChatGPTにも標準搭載されており、有料プランに加入している方はChatGPTを通して利用可能です。

DALL·E 2(ダリツー)でできること

  • テキストからの画像生成
  • 一度生成された画像をもとに別の画像を生成
  • 特定のスタイルの指定
  • 商用利用も可能(※ライセンス契約が必要)

なお、画像生成AIはそれぞれトレーニングモデルに違いがあるので、完成する画像に特徴があります。

実際にご自身の目で見て確認したほうが分かりやすいので、DALL·E 2(ダリツー)の公式サイトより確認してみてください。

⑤Stable Diffusion|拡散モデルを利用した画像生成AI

正式名称 Stable Diffusion
開発元 Stability AI、CompVisグループ、Runway
リリース日 2022年
ジャンル 画像生成AI
トレーニングモデル Diffusion Model
無料利用の可否
有料プラン サービスによって異なる
公式サイト https://ja.stability.ai/stable-diffusion

Stable Diffusionは、ミュンヘン大学のCompVisグループ、Runwayによって開発された画像生成AIです。

Stable Diffusionでできること

  • テキストプロンプトに基づいた画像生成
  • 参考画像から画像生成
  • 画像編集とレタッチ(inpaint)機能
  • 動画生成(※拡張機能)

Stable Diffusionは拡散モデル(Diffusion Model)を使用しているので、詳細な構造や特徴を持つ画像を生成する能力に優れています。

拡散モデルでは、あえて元の画像にノイズを付与し、データが破壊されていく過程(拡散過程)を学習させます。

データが破壊されてしまっては元も子もないように思えますが、データが破壊される仕組みを学習するということは、その逆の生成していく過程も学習することになります。

つまり、データを細分化して学習することになるので非常に高精細な画像が生成できるようになるのです。

また、拡張機能が豊富で「LoRA(ローラ)」という追加学習データを学習させることで、かなり精密なアニメイラストや美麗なビジュアルイラストを生成できるようになります。

どんな画像が生成できるのかは、公式サイトよりご確認ください。

⑥Canva|生成した画像をAIでデザイン

正式名称 Canva
開発元 Canva Pty Ltd
リリース日 2013年
ジャンル デザインプラットフォーム
言語モデル GPT-4
無料利用の可否 可(無料トライアル)
有料プラン Canva Pro:11,800円/年額
公式サイト https://www.canva.com/ja_jp/features/generative-ai/

Canva(キャンバ)は、誰でも簡単にプロフェッショナルなデザインを作成できるデザインプラットフォームです。

WEBデザイナーやイラストレーターに人気のプラットフォームですが、生成AIを活用したデザイン機能も実装しています。

CanvaのAI機能でできること

  • 「Magic Media」機能でテキストからオリジナルの画像を生成
  • リアルな顔画像やアニメ風のキャラクターを生成
  • テキストから短い動画クリップを生成
  • 水彩画、フィルム調、色鉛筆、などさまざまなスタイルを選択可能
  • 「Magic Write」機能でブログやSNS投稿用の文章を自動生成

Canvaは非常に扱いやすいインターフェースが人気で、多彩なテンプレートやグラフィック素材もそろっており、初心者からプロまで幅広く利用されているツールです。

なお、生成したコンテンツは商用利用も可能ですが、著作権侵害には十分に注意しましょう。

⑦Sora|本物と見分けがつかないと物議を醸した動画生成AI

正式名称 Sora
開発元 OpenAI
リリース日 2024年2月15日(OpenAIによって発表)
ジャンル 動画生成AI
言語モデル 詳細は非公開
無料利用の可否 現在は一般公開されておらず、無料利用不可
有料プラン 一般公開後に有料プランが設定される可能性が高い
公式サイト https://openai.com/index/sora/

「Sora(ソラ)」は、2024年2月15日にOpenAIによって発表された最新の動画生成AIです。

テキストプロンプトから高品質でリアルな動画を生成する能力を持ち、映画のトレーラーやアニメーション、複雑なシーンを簡単に作成できます。

Soraでできること

  • テキストプロンプトをもとに高品質な動画を生成
  • ドローンカメラの視点など、多彩なカメラアングルや動きを含むシーンを生成
  • リアルな実写映像やカートゥーンスタイルのアニメーションを作成
  • 既存の画像や動画をもとに新しい動画を作成
  • 複数のキャラクターや特定の動作、被写体と背景の詳細な描写を正確に表現

ただし、Soraはテキストだけで簡単に本物と見分けがつかない動画が作成できてしまうので、現在著作権などの問題がかなり議論されています。

画像と比較して、動画はディープフェイクや偽情報の拡散がしやすいです。そのため、情報操作や軍事・政治利用が加速する恐れもあります。

こういった問題に対処するために、OpenAIはセキュリティリスクに対処する方針を発表しています。2024年7月時点では一般公開はされていませんが、Soraを利用する際はセキュリティ面に十分に注意しましょう。

なお、NVIDIA社のサイトでは各種生成AIサービスを試してみることも可能になっています。

生成AIを活用するメリット3つ

生成AI(Generative AI)をうまく活用することで、ビジネスプロセスの効率化から新しいアイデアの創出まで、多岐にわたるメリットを享受できます。

以下では、生成AIの利用がどのような利益をもたらすか、具体的なメリットを解説します。

①コスト削減と業務効率化

生成AIをビジネスに導入することで、コストの大幅な削減を可能にします。

これは、生成AIが人間の代わりに多様なタスクを自動でかつ迅速に行うことができるためです。結果として、人件費の削減や作業にかかる時間の大幅な効率化が実現し、企業の利益増加に寄与します。

また、生成AIの特性として、ビジネスの拡大や変化に柔軟に対応できるスケーラビリティがあります。これにより、ビジネスが成長してタスク量が増えても追加の人員を必要とせず、生成AIをスケールアップするだけで対応が可能です。

これらのメリットにより、企業はより競争力を高め、市場での優位性を確立できるでしょう。

②新しいビジネスアイデアの考案や壁打ち

生成AIは、新しいビジネスアイデアの考案や壁打ちの際に非常に便利なツールです。

生成AIは、一つの問題に対して多様な解決策を迅速に提供できるため、より広範囲のアイデアを参考にビジネスプランを策定できます。

また、生成AIはアイデア自体を評価することもできるため、効率的に最適な選択を行えるのも便利なところです。これにより、プロジェクト全体のリスクが低減し、より確実な成果を期待できます。

このように、生成AIは新しいアイデアの探求と評価を効率化し、ビジネスの革新と成長を効率的にサポートします。

③技術的ハードルを下げる

生成AIの大きなメリットの一つは、全てのビジネスにおける技術的ハードルを下げられる点にあります。

これは特に、スタートアップや個人利用において最も重要なメリットといえるかもしれません。例えば、IT業界などで必須のプログラミングスキルは、初歩的なものであれば生成AIで代替可能です。

もちろん、企業の個別のニーズに合わせたシステムを構築する高度なプロジェクトは、現状の生成AIでは若干不安が残ります。しかし、簡易的なデバッグやテストは生成AIを活用することでかなり効率化できるので、今後確実に利用する企業は増えていくことになるでしょう。

ただし、あくまでも「ハードルを下げる」のが生成AIの役割であって、全てを生成AIに丸投げするようなことはできません。

「生成AIにエンジニアの仕事が奪われる」という議論もありますが、少なくとも専門性の高いエンジニア領域の需要がなくなることはありません。

生成AIができること・できないこと一覧

ここまで、生成AI(Generative AI)のポジティブな部分に焦点を当ててきましたが、生成AIは決して万能なわけではありません。生成AIにも苦手な部分、つまりできないことは多くあります。

以下に、生成AIができることとできないことの一覧表を作成したので、生成AIをどのように活用するべきかの参考にしてください。

生成AIでできること

文章理解・生成 初歩的なコピーライティングや原稿の初稿・第2稿の作成、長文の生成が可能。特定用途向けのチューニングの精度が上がり、原稿初稿は、人間が書くよりも良いレベルになると予想されている。
プログラミング 基礎的なプログラミングは精度が高く、長いプログラムであっても書けるようになっている。複数のプログラミングを展開し、文章で指示するだけでプロダクトを完成させることが期待されている。
画像生成 アート、ロゴ、写真を生成する。製品デザイン、建築物などのモックアップを生成できるように進化するとされている。
動画生成 3Dや動画を生成する。簡単な3Dや動画を生成できるようになり、そこから進化していくと考えられている。

生成AIでできないこと

人間の専門性 生成AIは急速に進化しているものの、人間の専門性が勝てる部分がまだ多い。
完全な自律性 生成AIは高度な判断や創造性を持つ人間の能力を完全に模倣・超越することはできない。
感情の理解・表現 AIはプログラムされた範囲内でのみ機能するため、人間のような感情の理解や表現はできない。

現場での生成AIの活用事例

これまで生成AI(Generative AI)の概要について紹介してきました。しかし、まだ直感的に理解できない方も多いのではないでしょうか。

ここでは、生成AIがどのような場面で活用されているのか、具体的な事例を通じて生成AIに対する理解をさらに深めていきましょう。

事例① ECのカスタマーサポートをチャットボットで自動化

ECサイトでのカスタマーサポートの自動化は、生成AIの活用事例として有名です。

生成AIを利用したチャットボットの導入により、顧客からのさまざまな問い合わせに迅速かつ正確に対応できるようになり、これが顧客サービスの品質を向上させます。

特に、商品情報の問い合わせや注文ステータスの確認などの基本的なタスクを効率よく処理できるため、オペレーションコストの削減が実現可能です。

これにより、人間のオペレーターは複雑で専門的な問い合わせへの対応に専念できます。

主に、大量の顧客からの問い合わせが発生するECサイトやカスタマーサポートセンターでの利用が見込まれており、多くの企業での導入が進んでいる状況です。

事例② マーケティング文案の自動生成や文字起こし

生成AIの進化により、マーケティング文案の自動生成や文字起こしが現実のものとなりました。

多くの生成AI系サービスでは、短時間で効果的な広告文や記事の見出しを生成することが可能です。

この結果、マーケティング担当者はより多くの時間を戦略策定や他の重要なタスクに充てられるようになり、生産性を大幅に向上させることができます。また、うまく利用することができれば、広告のクリック率やコンバージョン率の向上にも寄与するでしょう。

こういった活用法は、主にEC・小売業界やオンライン広告業界で顕著で、効果的なプロモーション文を短時間で生成し、消費者の関心を引きつけることが可能です。

事例③ データ分析の効率化

近年では、生成AIはデータ分析も可能になっています。

現代ビジネスにおいて、自社のデータ資源を分析し、データに基づいた経営戦略を立てることはもはや必須ともいえるでしょう。

生成AIは、大量のデータを迅速に解析して有益な情報をすぐに抽出できるので、こういったデータドリブンな企業経営を可能にします。

例えば、市場調査や消費者の購買行動を分析する際、生成AIは複雑なデータを瞬時に可視化し、企業が迅速な意思決定を行う手助けをすることが可能です。

特に、小売、金融、製造業など、データ駆動型の意思決定が求められる業界での活用が進んでおり、企業は市場の変動に迅速に対応し、競争力を高められるでしょう。

事例④ 医療診断の補助

医療分野においても、生成AIの進化は目覚ましいものがあります。

例えば、MRIやX線画像のデータをもとに生成AIが疾患の有無や進行度を高精度に予測することが可能となっています。

これにより、医師の診断の精度が向上し、病気の早期発見や早期治療へ向けて非常に重要な役割を果たすことになるでしょう。

また、患者の病歴や遺伝情報をもとに、最適な治療法をAIが提案するケースも増えてきました。

こういった活用法は、特に疾患の早期発見や治療の最適化を目指す病院やクリニックでの導入が多く、医療の質の向上とともに、患者の生活の質(QOL)の向上にも大きく貢献しています。

事例⑤ ニュース記事や動画の要約

生成AIの進化により、ニュース記事の作成や動画の要約も自動化されつつあります。

例えば、すでにYouTube動画をChatGPTを利用して要約するようなChromeプラグインなども登場しています。これにより、速報性が求められるニュース記事の迅速な配信や、大量のデータからの情報抽出と整理が可能となりました。

ニュース記事を自動生成することにより、人間の記者が時間をかけて行っていた記事作成作業の時間を大幅に削減可能です。その結果、記者はより深みのある取材やリサーチ、分析に時間を割くことができるようになります。

主に、速報性が重要とされるニュース記事の作成や、大量のデータを扱う金融ニュース、スポーツニュースなどでの活用が想定されます。

生成AIを活用する際の注意事項

生成AI(Generative AI)を活用する際には、いくつかの注意事項を考慮する必要があります。

以下は、生成AIを活用する際の注意事項についてまとめた表です。

データの質 生成AIの出力は、入力データの質に大きく依存します。不正確または偏ったデータを使用すると、誤った結果や偏見を持った出力が得られる可能性があります。
倫理的考慮 AIが生成したコンテンツが、偽情報や誤解を招く可能性があります。公正性や透明性を確保するためのガイドラインやポリシーの導入が必要です。
セキュリティ システムの保護、データの安全性、利用者の認識と教育、法律・規制の遵守など、多岐にわたるセキュリティ対策が必要です。
過度な依存 AIの自動生成能力に過度に依存することで、人間の判断やクリエイティビティが欠如するリスクがあります。
コスト 高度な生成AIの導入や運用には、初期コストや維持コストがかかる場合があります。

これらの注意事項を遵守し、責任ある形で生成AIを利用することで、多くの利点と価値を享受できるでしょう。

生成AIの学習や推論に最適なIT機器をご紹介

生成AIを利用するには、それ相応のスペックを持った製品を利用する必要があります。しかし、PCやGPU・サーバーは非常に分かりづらいので、初心者の方には少し難しいかもしれません。

そこで、生成AIの学習や推論に最適なIT機器をいくつか紹介します。以下に紹介する機器であれば、生成AIの持っている機能をフルで活用できるのでぜひ参考にしてください。

GPU

GPU

NVIDIA RTXシリーズのおすすめポイント

  • プロフェッショナル向けに設計されたデスクトップワークステーション向けグラフィックボード
  • グラフィックス処理のためのCUDAコア、AI処理のためのTensorコア、レイトレーシング処理のためのRTコアと3種類のコアを内蔵
  • グラフィックス処理やレンダリング、データサイエンス、シミュレーション、AIの開発から推論まで、幅広いワークロードに対応

NVIDIA RTXシリーズは、NVIDIA社製のGPUで、業務用アプリケーションに最適化されているGPUです。

特に、CADデザインや3Dレンダリングに強みを発揮し、AutoCAD、3ds Max、MayaなどのAutodeskアプリケーションやEDIUSなどの動画編集アプリケーションに適しています。

NVIDIA RTXシリーズは、大量のデータを素早く処理するための並列処理能力が高く、特に3Dレンダリングや動画編集などの業務での需要に応えられます。

これにより、生成AIの処理においても高速かつ正確な計算処理を行うことができ、効率的に作業を進めることが可能です。

詳細や購入については、こちらのリンクからご確認いただけます。

サーバー

サーバー

4種類のおすすめサーバー

  • ASRock Rackサーバー
    AMD Threadripper PRO 5955WXを搭載し、最大4基のGPUをサポート。クラウド、HPC、ストレージ市場向けに特化した高性能サーバー
  • ASUSサーバー
    第3世代AMD EPYCプロセッサを搭載。AI、ディープラーニング、HPC向けに最適化され、高い拡張性と効率性を持つ
  • Supermicroサーバー
    高性能の4th Gen Intel XeonとAMD EPYCプロセッサ、最大32スロットの大量RAMサポート、高速10G/25Gネットワークインターフェースを備え、最先端のAI技術をフル活用
  • Lenovoサーバー
    NVIDIA社の「H100」や「H200」、AMD社「MI300X」といった最新GPUと、Intel社およびAMD社の最新CPUに対応し、ラックサーバーやタワーサーバー、エッジサーバー等、幅広い用途に対応

上記のサーバーは、高性能なCPUとGPUを搭載し、大量のデータを高速処理する能力を持っています。

生成AIの処理には大量のデータをリアルタイムで処理する能力が求められるため、サーバーのスペックもそれに応じて最適なものを選定しなければなりません。

高性能なCPUとGPU、そして高速なメモリアクセスを持つこれら3つのサーバーは、生成AIの処理において、大量のデータを高速に処理する能力が備わっています。

これにより、リアルタイムでの画像生成や大量の画像データの処理が効率的に行えるようになります。

高性能なサーバーをお探しの方、特に画像生成AIの処理に最適なサーバーを求めている方は、こちらのリンクから詳細やお見積りをご確認ください。

パソコン・グラフィックボード

パソコン・グラフィックボード

3種類のおすすめパソコン

  • Lenovo製パソコン(Pシリーズワークステーション)
    高速なプロセッサ、高性能グラフィックス、大容量ストレージを備え、生成AIの能力を最大限に引き出すことができる頼れるワークステーション
  • ELSA製パソコン(ELSA VELUGAシリーズ)
    高性能なAMD Ryzen 7000シリーズやIntel Core i9 CPU、NVIDIA RTXグラフィックスサポート、高い互換性を兼ね備えており、生成AIのタスクに必要な部分を網羅
  • GIGABYTE製パソコン
    業界トップ水準の360Hzモニター、最強クラスのCore i9-13950HX×RTX 4090 Mobile構成、高効率な冷却システム、先進DDR5-5600メモリを採用し、低コストながら高い性能を実現

生成AIを活用するには、大量のデータ処理と高度な計算能力が求められます。上記の3種類のパソコンであれば、生成AIのデータ処理や計算にも十分に耐えることが可能です。

LenovoのPシリーズワークステーションは、高速プロセッサと大容量ストレージを備えており、大規模なデータセットのロードや保存、そして迅速な計算を可能にします。

ELSA製パソコンの「ELSA VELUGA」シリーズは、最新のAMD Ryzen 7000シリーズやIntel Core i9 CPUと、高性能なNVIDIA RTXグラフィックスサポートを持つことで、AIの学習や予測タスクをスムーズに行うことが可能です。

GIGABYTE製パソコンは、最高水準の画面リフレッシュレートと、極めて高性能なCPUとGPUの組み合わせにより、リアルタイムでの高速な処理やビジュアルタスクにおいても最高のパフォーマンスを提供します。

これらの特徴により、上記のパソコンは生成AIの全ての要求を高いレベルで満たすことができるのです。

高性能なパソコンをお探しの方、特に画像生成AIの処理に最適なパソコンを求めている方は、こちらのリンクから詳細やお見積りをご確認ください。

生成AIの活用は今後ますます進んでいく

本記事では、生成AIの基本的な概念から、代表的なサービス、メリット、活用事例、そして注意事項について詳細に解説しました。

生成AIは、画像、テキスト、動画、音声など、多岐にわたるデータを生成することができ、うまく活用することでコスト削減や新しいアイデアの創出など、ビジネスの多くの側面で利益をもたらします。

冒頭でも紹介したように、生成AIは今後10年の間に凄まじい速度で進化し続けることになるでしょう。また、10年後には「生成AIを導入していないなんて時代遅れ」と言われてしまう時代になっているかもしれません。

きたるべきAI新時代に向けて、生成AIのメリットやリスクを正しく認識し、今のうちからビジネスに取り入れることをおすすめします。

また、生成AIを活用する際の最適な環境構築についてのご相談やお問い合わせも、お気軽にどうぞ。

株式会社アスクに一度問い合わせていただければ、最適な環境づくりをお手伝いさせていただきます。

監修者:麻生哲

明治大学理工学部を卒業後、ITベンチャーにて多数のプロジェクトを管理。子会社を立ち上げる際には責任者として一から会社を作り上げ、1年で年商1億円規模の会社へと成長させることに成功。現在は経験を活かし、フリーランスとしてコンテンツ制作・WEBデザイン・システム構築などをAIやRPAツールを活用して活動中。

※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

株式会社アスクでは、最新のPCパーツや周辺機器など魅力的な製品を数多く取り扱っています。
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