NOFAN Corporation
Nofan A43
■PCケース:CS-60
ドライブベイ:5インチ×3、3.5インチ×1、3.5インチ内部×2(5インチベイ×2と共用)、2.5インチ内部×1
外形寸法:幅180mm×奥行き410mm×高さ425mm
重量:4.2kg、シャシーの材質:スチール
■CPUクーラー:CR-100A
対応CPU:TDPが100WまでのIntel製、AMD製CPU
外形寸法:直径222mm×高さ132mm、重量:783g
■電源:P-400A
定格出力:400W、認証:80 PLUS BRONZE
外形寸法:幅160mm×奥行き150mm×高さ86mm
冷却ファンやハードディスクドライブ(以下HDD)などの駆動するパーツを一切使わない無音パソコン。性能を犠牲にして発熱量を減らして作るのがセオリーだ。NOFAN Corporationの「Nofan A43」は、この常識を大きく覆し、最新のハイエンドCPUで完全無音PCを実現可能にした。
Nofan A43はPCケースとファンレスのCPUクーラー、ファンレス電源ユニットがセットになった自作キットだ。ベアボーンとは異なり、マザーボードは付属しない。そのため、Intel、AMDどちらでも、好きなプラットフォームで利用できる。
メッシュを多用したPCケース
PCケースのCS-60は、ファンレスで利用することを前提にしているため、空気の通りやすさを重視。前面、背面、上面、左側面とメッシュを多用している。通常のPCケースをベースにしているため、メッシュ部分にケースファンを付けるスペースがあるものの、取り付けないで使う。
5インチベイは上面側に1個、底面側に2個ある。このうち、底面側のスペースは、3.5インチ内部ベイと共用。3.5インチサイズに変換するフレームが取り付けてある。組み立てやすさにも配慮しており、2.5インチ内部を除く各ベイには固定具が付いている。ドライバーを使わずにドライブを固定できるのは便利だ。
CS-60は空気の通りを考慮しており、左側面の大半がメッシュ状になっている。マットな質感の塗装は、落ち着いた印象だ。 |
正面はほぼ全面がメッシュ。外観はスタイリッシュだ。USB 3.0ポートを1個搭載する。 |
背面。背面ファン部分がメッシュ状となる。拡張するとットの目隠し板にも穴が開いている。 |
左側面パネルを開けたところ。電源ユニットの配線は済んでいる。マザーボードベースにCPUクーラー取り付け用の穴があるが、使わない方が良い。 |
底面側にある5インチベイ。2個分あり、中に3.5インチドライブを2台取り付けられるフレームが入っている。 |
付属品。PCケース用のねじ、CPUクーラーの固定金具となる。Intel製CPUの場合は、バックパネルを使う。 |
電源ユニットは完全ファンレス
電源ユニットはP-400Aを搭載する。完全なファンレスを実現しながら、定格出力は400Wと高い。PCケース同様に空気の通りを重視。両側面と前背面がメッシュ状になっている。底面は大型のヒートシンクを搭載。内部にも大きなヒートシンクを備える。80 PLUS BRONZEを取得した高効率モデルで、発熱が低いのも大きなポイントだ。
電源ユニットは、PCケースのCS-60に取り付け済み。メインケーブルや+12Vケーブルは、マザーボードベースの裏側に配線してある。PCケース内の空気の流れを遮らないうえ、組み立てやすい。
電源ユニットのP-400A。内部を空気が流れやすくするため、上面と底面以外の4面がメッシュ状になっている。端子はメイン×1、+12V 8ピン×1、Serial ATA×6、ペリフェラル×3、PCI-Express 6ピン×1となる。 |
底面が大きなヒートシンクになっている。スリットの間にも通風口を設けている。 |
電源ユニットはPCケースの底面にあらかじめ取り付けてある。組み立ての手間は不要だ。 |
やってみると面倒な裏側配線も、あらかじめ済んでいる。使わないであろうPCI Express用の電源ケーブルを、結束バンドで束ねてあり、余ったケーブルがPCケースの内部で空気を遮らない。 |
圧巻! 直径222mmの大型CPUクーラー
ファンレスを実現する要となるパーツが、CPUクーラーの「CR-100A」だ。円形の独特の形状で直径が222mmと大きい。放熱部は、Nofanが開発した細長いアイスパイプを採用。ベース部とはヒートパイプで接続する。TDP(熱設計電力)が100WまでのCPUに対応。Core i7-2600K(TDP95W)やPhenom X4 945(TDP95W)などの高性能なCPUもファンレスで利用可能だ。
CPUクーラー「CR-100A」の直径は222mm。LGA1156用純正クーラーを横に置くと大きさが一目瞭然だ。 |
アイスパイプは太さが約1.5mm。円を描くように並ぶ。 |
フィンとベース部分は4本のヒートパイプで接続している。 |
大きくても取り付けは簡単!
CPUクーラーは付属の金具で簡単にマザーボードに固定できる。ただし、大きすぎるため、CPUクーラーを先に取り付けると、メモリーやケーブルなどを挿せなくなる。取り付ける順番は、まず、マザーボードに金具を取り付けてPCケースに固定する。次に、メモリーやケーブルを挿して、最後にCPUクーラーを取り付ける。
CPUにCore i7-2600Kを使い、ファンレス動作時の温度を計測した。負荷をかけると、ゆっくりと温度が上昇。ファンレスながら、放熱がしっかりなされていた。テスト時は69℃までCPUの温度が上昇したが、問題なく動作した。ストレージにSSDを使ったため、もちろん動作時の騒音は皆無。PCケースのLEDが付かないと、起動していることにも気が付かないほどだった。高性能なCPUでは難しかった完全無音のパソコンを、手軽に実現できるのは魅力だ。
CPUクーラーを取り付ける手順を紹介する。まず、クーラーに付属する金具をマザーボードに固定する。今回使ったIntel用マザーボードでは、バックパネルで裏から金具をねじ留めする。写真のように手で仮留めすると作業しやすい。 |
金具を付けたらマザーボードをPCケースに固定する。この時、ストレージやメモリーも一緒に取り付けておく。付け終えたら、電源やSerial ATAケーブルを接続する。 |
付属のグリスをCPUの上に塗る。グリスは瓶に入っており、フタにはけが付いている。このはけで、薄く均一にグリスを塗ろう。 |
CPUクーラーをPCケースの中に入れる。この時、ベース部分やヒートパイプをメモリーにぶつけないように注意しよう。 |
金具とCPUクーラーの位置を調整したら、上からばね付きのねじで固定する。 |
CPUクーラーの取り付けは完了した。最後に、電源やリセットボタンを配線しよう。今回のマザーボードはPCI Express x16スロットが2本ある。上面側のスロットは、CPUクーラーが重なるため使えない。グラフィックボードを挿す場合は底面側のスロットを利用しよう。 |
CPUにCore i7-2600K(3.4GHz)を使い、電源投入後10分後とベンチマークソフトの「OCCT」を実行して10分後の温度を計測した。ファン表面は左側面の針金部分、上面付近はCPUクーラーと上面パネルの間を計測した。CPUの温度はマザーボードに付属するツールの値だ。高負荷時、CPU温度は、ゆっくり上がって69℃あたりから横ばいで安定していた。 |
(文・写真=SPOOL)
※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
- ●NOFAN社 概要
- NOFAN Corporation.は、新しい冷却技術、アイスパイプを開発し、音が発生しないパソコンシステムを自作するための製品を開発しております。今後も、パソコンシステムのノイズを解決できる製品を設計開発してまいります。
- メーカーウェブサイト:http://www.nofancomputer.com/eng/
ATX、microATXマザーボードに対応したNofan A40のレビュー記事がエルミタージュにて公開されております。こちらも併せてご覧下さい。