製品レポート

サウンドバータイプ VB342+の実力検証、滑らかな動画に定評

ハドルルーム用プレミアムWEBカメラ

ハドルルーム向けWEBカメラは、小型のものからサウンドバータイプのものまで数多くの製品が登場してきている。そういった中、アバー・インフォメーションはプレミアムWEBカメラとして、コストパフォーマンスの良さとともに、画質の良さや、またWEB会議システムとの連携により、滑らかな動画が映し出せると定評を得ている。遠隔会議、UC市場ではメジャープレイヤーとしてその存在感を日々増してきている。今回は同社が注力するAVer VB342+の性能と機能を検証した。

VB342+

製品内容の確認

アバー・インフォメーションとしては、ハドルルーム向けのプレミアムWEBカメラは、前回レビューしたCAM340+に加え、このサウンドバータイプのVB342+を提供している。4Kカメラを内蔵したCAM340+に高性能の集音マイクとステレオフルレンジスピーカーを装備した製品というイメージに近い。

さて、VB342+のパッケージ内容は以下の通り。本体、リモコン、電源アダプターのほか、パソコンと接続するUSBケーブル、そして、本体を取り付けるための壁掛け・TV取付用金具などが主なものとなっている。

(1)VB342+本体 (2)リモコン (3)電源アダプター・電源コード (4)USBケーブル (5) USB Type-A - Type-Cアダプター (6)壁掛け用ブラケット (7)壁掛け用ネジ×4 (8)TV取付け用ネジ×2 (9)TV取付け用ゴム×2 (10))単四乾電池 (11)クイックガイド (12)保証書

その他、オプションで、AVer製カメラ共通のユーティリティーソフトPTZ App(フリーライセンス、WindowsおよびMac対応)も提供されている。

検証環境と内容

場所 使用機器
部屋A ノートPC VB342+ ディスプレイ(フルHD)
部屋B ノートPC CAM340+ ディスプレイ(フルHD)

(1)ローカル(部屋A)での映像の検証。ローカルにあるディスプレイを使っての検証。

(2)WEB会議を使って部屋Aと部屋Bをつないでの映像と音声の検証。

部屋Aと部屋Bそれぞれに、WEB会議システムをインストールしたノートPCを1台ずつ設置し、部屋AのノートPCにはVB342+を、また部屋BのノートPCにはCAM340+をつなぎ、ネットワークを経由してWEB会議接続を行った。VB342+は発売前ということもあり、部屋BのノートPCには、同じ4Kカメラを搭載しているCAM340+を使用した。

検証1:VB342+を箱から出す、外観

両手でかかえて持てる大きさと重さ

両手でかかえて持てる大きさと重さ

前回検証したCAM340+の小ぶりさとは違い、一見、ホームシアター向けのサウンドバーが入っているかのような横長の箱に今回検証するVB342+が収納されている。VB342+は、サウンドバーの形状の真ん中にカメラを搭載し、その両サイドにマイクとスピーカーを内蔵している。その本体の大きさは、650×100×109.5mmで重さは2.133kg。両手でかかえて持てる大きさで、14~15インチサイズの軽めのノートPCぐらいの重さ。持ち運ぶということは可能だが、基本的には据置型の製品といえるだろう。

セットアップは簡単にできそうだ

本体や付属品を箱から出して会議室のテーブルの上に広げてみた(上写真)。箱の中には何本ものケーブル類などが入っているかと思いきや、本体のほかは、リモコン・電源アダプター・コード・USBケーブル・金具類などそれほどでもない。これであればセットアップは簡単にできそうだ。

本体を少し詳しく見てみよう

セットアップする前に本体を少し詳しく見てみよう。

本体前面には、中央に位置するカメラ。そしてその両サイドにまずリモコン受光部(縦長の黒い部分)があり、そして受光部の下側に、まず向かって左側一番上から順に、「ミュートボタン」「ボリューム(+)」「ボリューム(ー)」。そして右側一番上から「電源ボタン」「プリセットホットキー」「電話入力ボタン」が配置されている。操作はリモコンもしくはこれらのボタンでもいずれでも行える。基本はリモコンで操作し、なんらかの理由で使えない時にこの前面のボタンを使用するという手もある。

一方、背面には、各種端子用のポートがあり、「HDMI出力端子」「増設マイク入力端子」「電話入力ポート」「RS232端子」「USBポート(PCへ接続)」「DC12V電源差込口」が用意されている。

検証2:VB342+のセットアップ

簡単接続のプラグ&プレイですぐに会議へ

セットアップ構成

セットアップ構成

まず電源

まず電源

そしてディスプレイ端子

そしてディスプレイ端子

最後にノートPCへ

最後にノートPCへ

セットアップは箱から出して、VB342+の背面にコードを3本差すだけのプラグ&プレイ。まずは電源アダプターにつながれた電源コード端子をDC12V電源に差し込み、次に、ディスプレイにつなぐHDMIケーブルをHDMI出力端子に差し、最後に、ノートPCにつながるケーブルをUSBポート(Type-Cの場合、変換コネクタが必要)に接続することで機器としてのセットアップは完了する。セットアップが終わってからちょっと思ったのだが、VB342+のデザインは一般的なディスプレイとしっくりくる感じがした。

あとは、VB342+を壁がけやスタンドに取り付けるのであれば金具で固定する必要もある。今回は検証であったため、壁がけやスタンドに取り付けるということはしなかったが、実際のところ、スタンドや壁など据え付けで使用するユーザがほとんどだろう。取扱説明書を見る限りそれほど難しいものではない。壁掛け時計を付けるような簡単さだと思う。

パソコンでWEBカメラを使ったことのある人であれば手順に迷うほどのものはなく、ものの5分もあれば箱から出してプラグ&プレイで完了する。

部屋Aでのセットアップ完了

部屋Aでのセットアップ完了

検証3:VB342+映像・音声品質

十分な性能、ハドルを超え中規模会議でも

VB342+は、4Kカメラ、集音範囲の広いマイク、高音質のステレオフルレンジスピーカーを一体にした、2~6人程度の人数を収容するハドルルームもしくは会議室規模に適したサウンドバータイプのモデルだ。

カメラ部には、ハドルルームには十分な対角120°広角レンズを搭載し、解像度は、4K(30fps)に加え、1080p、720p、960×540、848×480、800×448、640×480、640×360、424×240、320×240、320×180の多様な解像度をサポートし、各解像度は、60fps、30fps、もしくは15fpsに対応している。これだけあればWEB会議ソフト側でサポートしている仕様に合わせやすいため、WEB会議の品質を十分引き出した映像を出力できるといえよう。

また、電動パン・チルト機能も搭載しており、左右パンは、水平180°の撮影範囲を、また、上下チルトは垂直105°の撮影範囲をカバー、最短動作距離は80cm、しかも、最大4倍デジタルズームに対応している。対角120°広角レンズと合わせて、ハドルルームで使うことを考えると十分なスペックを提供しているのではないだろうか。

加えて、ワイドダイナミックレンジ機能(逆光補正)のほか、アバー・インフォメーションから提供されている無料の「PTZ App」による、露出・ホワイトバランス・左右反転などを自動または手動切替できる機能も提供されている。

スペック面からはビジネス会議で使う上で申し分ない性能といえる。

今回は、それを確かめるため、ローカル環境での映像検証と、WEB会議で接続しての2つの環境で検証を行った。

ローカル環境で検証している筆者

ローカル環境で検証している筆者

まずは、純粋にVB342+の性能を見るためローカル環境での検証を行った。
ノートPCにつないだVB342+の4K映像をディスプレイ(フルHD)に出力したのが上の写真。写真では見えにくいところがあるが、筆者が画面に映った画質を見る限り、ハイビジョンテレビの画質と同等という印象。

全体的にあかるく細かいところまではっきりと表示され、見た目の印象に近い滑らかな動画が映し出されていた。もし必要であれば「PTZ App」アプリを使って画質の補正あるいは最適化も可能だ。今回はダウンコンバートされた映像だが、4Kディスプレイを使えばさらに良い画質が得られるのは間違いない。

画質は良いのはわかった。次に広角120°はどうだろうか。この撮影範囲であれば4人~6人程度でも問題なく会議ができると思われる。今回はVB342+をテーブルの上に仮置きした形だが、スタンドや壁掛け、あるいは、ディスプレイの下側か上側にVB342+を設置するかで会議テーブルにすわる人たちの見え方は若干異なるという点は設置する際に検討したほうがよいだろう。

被写体に対するズームはどうか。下の写真のように会議用途として考えればほどよく効いているといえる。ハドルルームといった小規模の会議室でズームを使う機会はあまりないような気もするが、パン・チルト・ズームを組み合わせれば会議室の広い範囲をカバーできていることがわかる。VB342+は他のアバー・インフォメーション製カメラと同様に、リモコン操作に対してレスポンスが良くスムーズな動作を確認できた。

両手でかかえて持てる大きさと重さ

花を被写体としてズームの効果を見てみた。欲を言えばもう少しアップ映像が欲しいという気もしたが、ハドルを想定している点から考えると運用で対処できるレベル、ハドルルームで使う分には十分といえる。元が4K画質のため被写体を拡大しても画質のきれいさは保たれている。

ローカルでの検証ではVB342+の性能の高さを確認することができた。

今度は、部屋BへWEB会議で接続する形で検証を行った。

相手側には、WEB会議システムがインストールされているノートPCにCAM340+を使用する。一見、社内のネットワークを使ってWEB会議を行っているようだが、クラウドサービスであるため、一旦外のネットワークに出ている通信となっている。しかし、検証中は安定した接続で映像のゆらぎや音質の低下などは起こらなかった。

部屋A (VB342+)

部屋A (VB342+)

部屋B (CAM340+)

部屋B (CAM340+)

部屋Aにあるディスプレイには、部屋BのCAM340+でキャプチャーした映像が届いており、一方、部屋Bのディスプレイには部屋AのVB342+がキャプチャーした映像が届いていた。どちらも画質については同じカメラ技術をベースとしているため、特段大きな差は感じられなかったが、若干VB342+からの映像の方が明るくシャープな印象はあった。

一方、音質の方は、いずれからの音も、どちらかというと高音よりも低音が効いたやわらかい、耳触りのよい音質だった。長時間のWEB会議でも疲れないだろう。映像を使った会議とはいえ音は大事で、音質が悪いと不明瞭に聞こえたり、ストレスの原因になったりする。こういったカメラを検討する際には音も確認したほうが良い。アバー・インフォメーションの製品はこの点においても充分期待に応える製品であると確認できた。

その音質にかかわる部分においては、マイクやスピーカーのスペックも確認しておきたい。

VB342+は、エコーキャンセリングやノイズサプレッションに対応した指向性マイクを本体前面に2基搭載し、集音範囲は約6メートル。またオプションで増設マイク(ケーブル長 10m・20mの2種類提供)や、3.5mライン端子の外部音源にも対応している。

一方、スピーカーは、本体両サイドに、5W×2のステレオフルレンジスピーカーを搭載。1/2メートルの位置でスピーカーの能率を表す音圧レベル(SPL)が96dBとなっており、かりに先ほどの増設マイクを追加して10人以上参加したとしても、十分な音量を確保しているだろう。実際にスピーカーからの音を聞いてみると、たしかに、余裕のある大きさの音が出ており、相手からの声が聴きづらいということはほとんどないだろう(もちろん、相手の声量や環境音にも影響される部分ではある)。上位モデルのVC520+は、7人から24人の参加者をカバーできるようになっているが、VB342+は十数人程度までであれば増設マイクを使えばカバーできるかもしれない。

こういった画質や音質の良さというのは、会議に参加する人達が"技術"ではなく"会議"に集中するためにある。いちいちカメラの性能やマイクの音質などを気にしながらでは会議の生産性は高まらない。その点、VB342+はハドルルームでの会議の生産性を向上させてくれるだろう。しかし、アバー・インフォメーションはこれだけにとどまらず、会議に集中するための便利な機能をいくつか提供している。

検証4:その他便利な機能

"技術"ではなく"会議"に集中できる

今回は簡単だが3つを紹介する。「最大10カ所までのカメラ位置保存・読み出し機能」と、「スマートフレーム機能」、「スピーカートラッキング機能」の3つは会議中のひと手間を省いてくれる便利な機能だ。

カメラ位置保存・読み出し機能は、会議室全体の広角映像から登録済みの位置へ瞬時に切り替えることでスムーズに会議を進行させることができるもの。これまでのアバー・インフォメーション製カメラで提供されてきた機能だ。

スマートフレーム機能

スマートフレーム機能

また、新たに実装されるのが「スマートフレーム機能」。カメラ撮影範囲内の複数の顔を認識し、ボタン一つで最適なフレーム位置へ自動調整を行うもの。つまり、1名であればその人がカメラ撮影範囲内の真ん中に映るように、また、3名であれば3人がその範囲の中に収まるように自動調整するようになっている。

さらに、将来的なファームウェアアップデートで、話している人を追尾する「スピーカートラッキング機能」が実装される予定となっている。

これらの機能というのは、リモコン操作に手間を取らせずに会議に集中させるための便利な機能といえよう。リモコン操作によって会話が中断されることもありえる。なお、これらの機能はアバー・インフォメーション製カメラ共通仕様の赤外線リモコンで操作する。

まとめ:コストパフォーマンスの高いVB342+

十分な保証・保守サービス

台湾メーカーのアバー・インフォメーション。国内には東京新宿区に日本法人であるアバー・インフォメーション株式会社がある。国内メーカーではない分不安に思われるユーザもいるかもしれないが、日本やアメリカ、イギリス、中国、韓国などを含め世界11ヶ国で拠点をもち、70ヶ国に製品を提供している。また、毎年、収益の30%を超える予算を研究・開発への投資に充てており、全世界で働く550名を超えるスタッフのうち、3人に一人が研究・開発に携わっている。教育向けの書画カメラで世界的なリーダー企業でもあり、この10年ほどはテレビ会議システムや今回話題に上げたWEBカメラの開発販売も行っている。画像技術については定評がある。遠隔会議システム市場では頭角を現している注目企業の一社だ。

この機会にVB342+を検討してはいかがだろうか。経費で落とせる価格でコストパフォーマンスは高い。

(文・写真=CNAレポート・ジャパン 橋本啓介)

※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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