Apricorn
Aegis Bio 3.0シリーズ
インタフェース:USB 3.0
容量(HDDモデル):500GB/750GB/1TB
容量(SSDモデル):128GB/256GB/512GB
本体サイズ:19×84.5×120mm
本体重量:約176g
暗号化:256ビット AES-XTS ハードウェア暗号化
対応OS:Windows、Mac OS、Linux
付属品:携帯用ポーチ、USB分岐ケーブル、英語版クイックスタートガイド
データの共有や持ち運び、バックアップなど幅広い用途で使える、USB給電のポータブルストレージ。Ultrabookやタブレット端末などと一緒に持ち歩いている人も多いだろう。だが、多くのポータブルストレージは、セキュリティーが甘いのが現状だ。USB端子に接続するだけで、保存しているファイルを読み出せてしまう。もし、紛失や盗難に遭ったら中のデータは筒抜けだ。
ポータブルストレージの中には、万が一のリスクに備えて、セキュリティー機能を備えた製品がある。今回紹介する「Aegis Bio 3.0」シリーズもその一つで、最大の特徴は、二重の対策でデータを守る点だ。
指紋認証と暗号化を併用してデータを保護
第一のセキュリティー対策が指紋認証による、アクセス制限だ。指紋は複製が難しく、パスワード認証のように他人が「なりすまし」によってアクセスできない。管理が簡単なのもメリットだ。一般的なユーザー認証の方法にパスワード認証がある。しかし、単純なパスワードを推測されたり、盗み見で記憶されたりするなど、悪用されるリスクが高い。反対にパスワードを複雑にすると、管理が難しい。忘れたら二度とアクセスできなくなる。
セキュリティーを高める第二の手段が、256ビットのAES-XTSハードウェア暗号化だ。全てのデータを暗号化してから記録する。ケースからHDDやSSDを取り出して、ほかのPCに接続しても、正しいデータは読み出せない。
そして、これら二重の対策をAegis Bio 3.0のみで処理できる。つまり、ハードそのものに鍵をかけられるのだ。本体内にセキュリティー機能を備えたチップを搭載しており指紋の登録や認証、データの暗号化や複合を行う。登録、認証用のソフトやUSBドングルなどは一切不要だ。WindowsやMac、LinuxなどOSを問わずに使える。「強固なロック」と「環境を問わない利便性」を両立している。
Aegis Bio 3.0。今回評価したのは500GBのHDDを内蔵したモデルだ。上面から右側面にかけて溝があり、ケーブルを収納できる。
スマホ+αのコンパクトサイズ、USB 3.0を全モデルに採用
製品を詳しく見ていこう。開発、販売は米に本社を置くApricorn。主にストレージ製品を扱うメーカーで、セキュリティーを高めたモデルを積極的に展開している。
パッケージを開けると、Aegis Bio 3.0本体の他、キャリングケース、英語版のクイックスタートガイド、二股ケーブルが入っている。本体は幅84.5×奥行き120×高さ19mmとコンパクト。スマートフォンを一回り大きくした程度の大きさと言えばイメージしやすいだろう。重量は176g。頻繁に持ち歩いても苦にならない重さだ。本体色はブラックで高級感がある。
Aegis Bio 3.0のラインアップは全部で6種類。5400回転/分のHDDを内蔵するタイプは500GB、750GB、1TBの3モデルがある。容量を重視するなら、こちらがベストチョイスだ。転送速度を重視したい場合は、ストレージにSSDを採用するモデルがお薦め。公称のデータ転送速度は読み出しが160MB/秒、書き込みは145MB/秒。外付けストレージとしては極めて高速だ。
全てのモデルでインターフェースにUSB 3.0を採用する。USB 3.0はこれまで主流だったUSB 2.0を高速化した規格で、最近発売されたデスクトップPCやUltrabookなどが搭載している。理論上の転送速度は最大500MB/秒。外付けストレージの弱点である、データ転送の遅さの解消に期待できる。使っているPCにUSB 3.0端子が無くても大丈夫。転送速度は遅くなるものの、USB 2.0端子に接続しても読み書きが可能だ。
Aegis Bio 3.0シリーズ(HDDモデル) | |||
---|---|---|---|
製品名 | Aegis Bio - USB 3.0, software free design with hardware 256-bit AES encryption 500GB | Aegis Bio - USB 3.0, software free design with hardware 256-bit AES encryption 750GB | Aegis Bio - USB 3.0, software free design with hardware 256-bit AES encryption 1000GB |
容量 | 500GB | 750GB | 1TB |
インタフェース | USB 3.0(USB 2.0/1.1対応) | ||
電源 | USBバスパワー(電力供給が足りない場合は付属のUSB分岐ケーブルを使用) | ||
暗号化 | 256ビット AES-XTS ハードウェア暗号化 | ||
内蔵ストレージ | HDD(5,400rpm、8MBバッファ、平均シークタイム12ms) | ||
耐衝撃性 | 非動作時:1000G/1ms、動作時:300G/2ms | ||
同梱物 | Aegis Bio本体、モバイル用ポーチ、USB分岐ケーブル、英語版クイックスタートガイド | ||
外形寸法 | 19mm×84.5mm×120mm | ||
本体重量 | 約176g | ||
型番 | A25-3BIO256-500 | A25-3BIO256-750 | A25-3BIO256-1000 |
Aegis Bio 3.0シリーズ(SSDモデル) | |||
---|---|---|---|
製品名 | Aegis Bio -USB 3.0, software free design with hardware 256-bit AES encryption 128GB SSD | Aegis Bio -USB 3.0, software free design with hardware 256-bit AES encryption 256GB SSD | Aegis Bio -USB 3.0, software free design with hardware 256-bit AES encryption 512GB SSD |
容量 | 128GB | 256GB | 512GB |
インタフェース | USB 3.0(USB 2.0/1.1対応) | ||
電源 | USBバスパワー(電力供給が足りない場合は付属のUSB分岐ケーブルを使用) | ||
暗号化 | 256ビット AES-XTS ハードウェア暗号化 | ||
内蔵ストレージ | SSD | ||
耐衝撃性 | 1,500G/0.5ms | ||
同梱物 | Aegis Bio本体、モバイル用ポーチ、USB分岐ケーブル、英語版クイックスタートガイド | ||
外形寸法 | 19mm×84.5mm×120mm | ||
本体重量 | 約176g | ||
型番 | A25-3BIO256-S128 | A25-3BIO256-S256 | A25-3BIO256-S512 |
ラインアップは全部で6種類。違いは内蔵ストレージの種類と容量だ。
パッケージ。白を基調としたデザインで、英語、フランス語、スペイン語で特長が書かれている。 |
パッケージの内容。左上から時計回りに本体、キャリングケース、二股ケーブル、クイックスタートガイド(英語版)。設定にソフトを使わないため、ドライバーディスクは付いていない。 |
Aegis Bio 3.0はiPhone4Sを一回り大きくした程度の大きさ。黒にシルバーのラインが入ったデザインだ。 |
キャリングケースは横開きタイプ。面ファスナーでふたを固定する。広い面は内部にクッション材が入っている。 |
インターフェースはUSB 3.0に対応。端子の内部が青いのが目印だ。PC側でもUSB 3.0端子は青くなっている。 |
二股ケーブルの接続イメージ。USB端子からの給電が足りない場合に、利用する。2個ある端子のうち1個はUSB 3.0対応で給電とデータ転送に使う。もう1個はUSB 2.0対応で給電のみに利用する。 |
指紋登録は指を滑らすだけ
Aegis Bio 3.0の上面にある、一段くぼんだ部分、これが指紋を登録、認証するセンサーだ。センサーの上部には赤、緑、青と3種類のLEDがある。点等や点滅の組み合わせで状態を把握する。センサーの下部に「Enroll」ボタンがあり、接続中のロックや指紋の追加登録、ストレージの初期化などに利用する。
Aegis Bio 3.0を利用するには、まず指紋を登録する。ケーブルをUSB端子に接続し、給電されるとLEDが点灯する。この状態ではPCからHDDを認識できない。
指紋が登録されていなければ「青色点灯」「緑色点滅」となる。ここで、センサーに登録したい指を触れて滑らせる「スワイプ」動作を行う。指紋を認識すると青色が消え「緑色が速く点滅」する。指紋情報を登録している状態だ。
再び「青色点灯」「緑色点滅」になったら、再度指をスワイプして登録する、指紋情報の精度を高めていく。6回程度スワイプし登録が完了すると「青色点灯」「緑色点灯」に変わる。15秒以内にEnrollボタンを押すと、最大5個まで指紋を連続して登録できる。
指紋の登録完了後、15秒間そのままにするか、5個の指紋を登録すると「Lock」状態を示す「赤色点灯」に切り替わる。指紋を登録した指でスワイプし、LEDが「緑色点灯」に変わったら「Unlock」状態だ。ここで始めてPCからストレージを認識できる。
初回利用時はドライブの初期化が不要だ。出荷時にパーティションテーブルが「MBR」、ファイルシステムは「NTFS」でフォーマットされている。指紋を登録すれば、すぐにストレージとして利用可能だ。
ロックをかけるにはUSBケーブルを抜くか、読み書きしていない状態でEnrollボタンを2秒間押す。PCからマウントを解除しただけではロックがかからないので、運用には注意しよう。
指紋を変更する場合は、Aegis Bio 3.0をリセットして指紋を登録しなおす必要がある。個別には削除、変更できない。初期化は指紋情報だけでなく、記録中のデータが完全に削除される。作業の前にバックアップを忘れずに取っておこう。
リセット後は、再度指紋を登録してもすぐにストレージは使えない。ドライブのフォーマットが必要だ。手順はまず、「スタート」ボタンから「コンピューター」を右クリックし「管理」を選択。左ペインのディスクの管理に移動すると、「ディスクの初期化」と書かれたサブウインドウが表示される。ここで「MBR」を選び「OK」をクリックする。あとは、右ペインからディスクを選び、NTFS形式でフォーマットすれば、再びデータを読み書きできる。
PCとの接続は至って簡単。Aegis Bio 3.0をUSB端子に接続するだけだ。 |
PC接続後、給電されるとLEDランプが付く。指紋の登録が無い場合「青色点灯」「緑色点滅」となり、指紋登録待ちの状態となる。 |
指紋を登録する。指の腹で上面中央のセンサーをスワイプする。指紋を認識すると青色が消えて「緑色が速く点滅」する。 |
再び「青色点灯」「緑色点滅」になったら、スワイプする手順を6回程度繰り返す。情報の精度が高まったら、「青色点灯」「緑色点灯」の状態になる。これで1個の指紋登録が完了した。 |
15秒以内にセンサー下部の「Enroll」ボタンを押すと指紋登録待ちの状態戻り、別の指紋を登録できる。登録できる指紋は最大5個までだ。登録が終わると3つのLEDがオンになる。2秒待つと「青色」→「緑色」と順に点滅し、最後に「赤色点灯」の状態になる。これが「Lock」状態だ。登録した指をスワイプし、ロックが解除されればLEDが「緑色」になる。
リセット後指紋を登録しても、そのままではWindowsの「コンピューター」からドライブは見えない。使えるようにするには、ディスクの初期化とフォーマットが必要だ。まずは、ディスクの初期化から。ディスクの管理プロパティ画面を開き、ディスクの管理を選ぶ。ディスクの初期化」画面が現れ、パーティション スタイルを選ぶ。ここではMBRにした。
初期化が終わるとディスクが認識される。あとはNTFSなど、利用する環境に応じてファイル システムを選択し、フォーマットする。処理が終われば「コンピューター」でドライブを開ける。
USB 3.0は2.0の倍以上の速さ!
セキュリティーを重視したモデルとはいえ、ストレージとしての使い勝手を左右するデータ転送速度は気になるところだ。ベンチマークソフトの「CrystalDiskMark 3.0.2」(ひよひよ氏作)でAegis Bio 3.0の転送速度を調べた。
計測したのは、500GBのHDDモデル。USB 2.0端子に接続した場合、順次読み書きは25MB~26MB/秒程度だった。同じPCのUSB 3.0端子につなぎ替えたところ、順次読み書きが76MB/秒を超えた。速さは実に2倍以上。体感でも明らかにデータの読み書き速度が違っていた。安心と快適を高いレベルで満たす、魅力ある製品で、ビジネス用途はもちろん、個人用途でも大活躍してくれるはずだ。
USB 2.0で接続した場合の測定結果。順次、ランダム512KBとも26MB/秒程度で頭打ちになっている。 |
USB 3.0につなぎ替えた。驚いたのは、順次読み書きの速さ。76MB~77MB/秒程度までアップした。外付けストレージとしては速く、データ転送のストレスが大幅に軽減されるはずだ。 |
(文・写真=SPOOL)
※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
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- ●Apricorn Inc.社 概要
- Apricorn Inc.は、米国に本社を置くストレージベンダーで、PCIeストレージや指紋認証ストレージ、暗証番号認証ストレージなど他にないユニークな製品をリリースしています。
- メーカーウェブサイト:http://www.apricorn.com/