ゲームユーザー向けのPCパーツを手がけているAerocool。アグレッシブなデザインのモデルを多数そろえている。今回紹介するミドルタワーケース「Strike-X ADVANCE BLACK Edition」(以下Strike-X ADVANCE)もその一つだ。
最近のPCゲームは負荷が高い。滑らかな映像でプレーするには、高性能なパーツが必要だ。Strike-X ADVANCEは、ゲーム向けのハイエンドな構成でも熱がこもりにくいよう、空気の通りを重視した構造を採用する。
Strike-X ADVANCE BLACK Edition。左側面のXをかたどった部分は立体的だ。
対応フォームファクター | ATX、microATX |
外形寸法(mm) | 幅190×奥行き490×高さ465 |
シャシーの材質 | プラスチック、スチール(0.6mm厚) |
ドライブベイ | 5インチ×9(うち6個は3.5/2.5インチ内部と共有) |
拡張スロット | 7 |
搭載可能ファン | 前面12cm角×2(搭載済み、1200回転/分) 背面12cm角×1(搭載済み、1200回転/分) 上面14cm角×1(搭載済み、1500回転/分) 底面14cm角×1(オプション) 左側面12cm×1(オプション) |
前面端子 | USB 3.0×1、USB 2.0×1、音声入出力 |
幅が190mm、高さ465mmは、大型の製品が多いゲーマー向けミドルタワーとしてはコンパクトだ。設置場所のスペースに制約がある人には本製品は使い易いサイズだ。
デザインで目を引く、左側面と上面でアルファベットの『X』を大きく形取った部分。SFの世界観を連想させ、ゲーマーの遊び心をくすぐる。このX形状の部分は、メッシュになっている。前面も大部分がメッシュで、内部に2個の12cm角ファンを搭載する。これらから大量の外気を取り込み内部を循環、背面の12cm角ファンと上面の14cm角ファンで排出する。吸気と排気で2個ずつファンを使うため、内部を流れる風量が多い。動作中に手を入れると、風が通るのが分かるほど。機能とデザインを見事に融合させている。
真横から内部を見たところ。ファンで取り込んだ空気の流れを赤い矢印で、メッシュ部を通る空気を青い矢印で示した。拡張スロットのブラケットも全面メッシュで通気性に優れる。
前面はほぼメッシュ。左右の赤い部分は、スイッチを入れると光る。端子やスイッチは上面にある。 |
前面パネルを開けると、下部に2個の12cm角ファンが収まっている。5インチベイはベゼルの裏にスポンジ状のフィルターがあり、ほこりが内部に入らないよう工夫されている。 |
背面。ブラケットまでメッシュになっている。水冷機構に対応しており、チューブを通す穴が用意されている。 |
上面の14cm角ファンと背面の12cm角ファンでCPUクーラー付近にこもりがちな熱気をしっかりと排出する。 |
多機能トレーが構成の自由度をアップ
ベイは、5インチが9個。3.5インチや2.5インチベイは無く、ストレージの取り付けには付属のトレーを使う。トレーはドライブに加えて12cm角ファンをねじ止め可能だ。ドライブなどを付けたトレーは、5インチベイに取り付ける。どの位置にも取り付けられるため、起動ドライブを一番上にしたり、HDDを前面ファンの風が当たる位置に集中させたりと、自由に構成できる。自作PCの醍醐味である、カスタマイズを存分に楽しめる。
組み立てやすさを高める工夫も豊富だ。5インチベイの固定は付属の留め具を使う。中央の赤い部分をひねるだけでがっちりと付けられる。側面パネルは背面に折りたたみ式の取っ手がある。引っ張れば、簡単にパネルを外せる。マザーボードベースは3か所に細長い穴があり、裏面配線に対応する。裏から見ると穴の周囲に凹みがあり、太めのケーブルも収納しやすい。
シャシーに用いられているスチール板は、0.6mm厚。板の端を折り返してあり、強度は十分。重い高性能なパーツを取り付けてもゆがむことは無かった。折り返し加工は指で板のエッジ部分をこすってもけがをしにくく、作業の安全性も高める。
取り付けられるグラフィックボードの長さは29.5cmまで。ほとんどのハイエンドグラフィックボードに対応する。CPUクーラーは高さが16.3cmのものまで利用可能だ。豊富な選択肢から最適なモデルを選べるはずだ。ハイエンドな構成も十分に対応するものの、コンパクトさを優先したためスペースの余裕は少ない。
トレーは表に2.5インチもしくは3.5ドインチライブを、裏に12cm角ファンをねじ止めする。 |
光学式ドライブやトレーはベイの横の固定具で留める。ねじ穴に突起を合わせて中央の赤いダイヤルを回せばよい。 |
背面側にある取ってを引けば、簡単に側面パネルをスライドし、外せる。 |
マザーボードベースの凹凸を利用すれば、きれいに裏面配線できる。 |
長さが約27cmのグラフィックボードを取り付けた。トレーが干渉するため、5インチベイの一部は使えなくなる。
搭載するファンは全て通電すると赤く光る。メッシュから漏れる光が近未来を想像させる。 |
前面のUSB 3.0ケーブルは内部ピンヘッダーに挿すタイプ。USB 2.0端子が分岐して付いており、どちらか一方使える。 |
テストで冷却能力の高さを証明
パーツ一式を取り付けて、冷却能力を検証した。CPUは、LGA1155対応で最上位のIntelのCore i7-3770K(3.5GHz)を、マザーボードはIntel Z77チップセット搭載するモデルを組み合わせた。グラフィックボードは、ハイエンドチップのRadeon HD 7870を搭載した「R7870 Twin Frozr III OC」(MSI)を使った。PCを起動して5分後の「アイドル時」と負荷をかけて5分後の「負荷時」での温度変化を比べた。
CPUはアイドル時の32℃から負荷時の67℃まで上昇した。負荷時の温度は標準のCPUクーラーとは思えないほど低い。驚いたのはマザーボードの温度だ。アイドル時と負荷時で32℃と変わらない。大量の外気がマザーボードからCPUまでしっかりと届いているのが分かる。
Strike-X ADVANCE BLACK Editionの高い冷却能力は活躍できる用途が幅広い。複数のHDDを備えるストレージPCや常時稼働するサーバーPCに使うのもお薦めだ。
CPU温度とマザーボード温度の計測結果。室温は25℃。アイドル時は起動してから約5分、負荷時は「OCCT 4.3.2」の「CPU:Linpack」を実行後約5分後の値。負荷をかけてもマザーボード温度は上がらなかった。常に空気が流れ、表面が冷やされていると考えられる。
(文・写真=SPOOL)
※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
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- ●Aerocool Advanced Technologies社 概要
- 産業用・PC用のサーマルマネージメントソリューションを提供する企業として2001年に設立されたAerocool社。フロントベイに取り付けるマルチファンクションコントロールパネルなどで自作ユーザーにもブランドを浸透させ、今日ではゲーミング市場に向けたPCケースや各種アクセサリ類に注力。革新的デザイン、機能を持つ同社製品は世界中のゲーマーに受け入れられています。
- メーカーウェブサイト:http://www.aerocool.com.tw/