XR(クロスリアリティ)という言葉をご存知でしょうか。
XRはVR・AR・MRという3つの技術を包括する概念で、メタバースに代表される仮想化技術の発展が著しい昨今、非常に注目されている技術です。しかし、具体的にどのような技術なのか、また何に活用されているのか、疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、XRについて、基本的な定義や使用するデバイスの種類・選び方・活用事例まで幅広く解説します。
「XRとは何か詳しく知りたい!」「XRの活用事例を知ってビジネスに活かしたい!」という方は、ぜひ参考にしてください。
目次
XR(クロスリアリティ)とは?
XR(クロスリアリティ)とは、VR(Virtual Reality:バーチャルリアリティ)、AR(Augmented Reality:拡張現実)、MR(Mixed Reality:複合現実)という3種類の技術を総称した言葉です。
XRは、ゲームやエンターテイメント領域での活用が目立ちますが、医療・教育・製造業などさまざまな分野で応用されている技術です。
現実世界では不可能な体験を実現できる技術なので、没入感の高い新たなユーザーエクスペリエンスでビジネスをより良いものにするのではないかと期待されています。
VR、AR、MRとの違い
VR(Virtual Reality:バーチャルリアリティ) | AR(Augmented Reality:拡張現実) | MR(Mixed Reality:複合現実) | |
---|---|---|---|
概要 | 主に専用デバイスにより、CGで作られた3D空間を高いリアリティで体験する技術 | カメラで映した現実世界を背景に、文字や画像などデジタル情報を付け加える技術 | 現実世界の3次元情報をもとに、ARよりも高い精度で現実世界にデジタル情報を重ね合わせて映し出す技術 |
使用するデバイス | VRヘッドセット・専用ヘッドセットなど | スマートフォン・タブレット・ARヘッドセットなど | MRヘッドセット |
活用例 | ゲーム・トレーニング・ヘルスケアなど | ナビゲーションアプリ・遠隔支援ツールなど | 製品のデザインレビュー・フライトシミュレーターなど |
VR・AR・MRは、それぞれ使われている技術や使用デバイス、ユーザー体験が異なります。
まず、VR(Virtual Reality:バーチャルリアリティ)とは、主にVRヘッドセットを用いて3Dのデジタル空間に入り込んだような没入体験ができる技術です。
VRヘッドセットにはセンサーが搭載されており、ユーザーの動きに合わせて映像を360度回転させることでユーザーを仮想空間に没入させます。
次に、ARとは、現実世界にデジタル情報やオブジェクトを付け加えて表示する技術です。
スマートフォンのカメラなどで映し出した2次元映像に文字や画像を立体的に重ね合わせることで、3次元世界にデジタル情報を付け加えます。
最後に、MRとは、ARを更に拡張し、現実世界とデジタル情報を組み合わせて、自由な位置や角度から臨場感のある体験ができる技術です。
また、MRヘッドセットに搭載されたカメラやセンサーによって空間マッピングを行い、現実世界の壁や床、机といった物体との距離を取得することも可能で、MRヘッドセットを装着しているユーザーの動きもトラッキングしているため、現実世界の中に3次元的なデジタル情報をあるべき自然な姿で表示することが可能です。
これらのXR技術を活用したアプリケーションを開発するためにはUnity Industryのような高度な開発ツールが必要不可欠です。
Unity Industryは、産業界向けのエディターやコンバータが統合されたリアルタイム3D体験を構築するためのプラットフォームです。
教育現場での活用も目立つ
XR技術は、既にさまざまな分野で活用されていますが、とくに教育分野での活用が目立ちます。
これは、高い没入感やインタラクティブな体験が、学習効果を高めると考えられているためです。
教育現場でXR技術を用いることで、従来の教材ではできなかった質の高い体験型教育が実現します。
一例として、学校法人角川ドワンゴ学園が運営するN高等学校・S高等学校では、VR技術を用いたバーチャル空間で体験的な学習を行っています。
本校では、理科の実験・歴史遺産への訪問などを3D空間内で実施することで、現地へ直接出向かなくても非常にリアルな学習体験を得ることが可能です。
他にも、体育祭や修学旅行などのイベントをVR空間で実施することにより、生徒同士がどこにいても交流できる機会を提供しています。
このように、XRは教育現場の進化に大きく貢献している技術です。
今後もXRの技術発展が進めば、さらに質が高く利用しやすい教育コンテンツが作られていくでしょう。
XRに必要なヘッドセット主要メーカー
XR(VR/AR/XR)用のデバイスは、現在では、多くのメーカーから製品がリリースされており、各メーカーによって特徴やできることも異なってくるので、以下にXR関連の主要なヘッドセットメーカーと製品の一部をご紹介します。
VRヘッドセット
VRヘッドセットには、スマホを装着するスマホVRや、単体で機能するスタンドアローン型、高性能なハイエンドVRなどの種類があります。
どのVRヘッドセットで何が実現できるのかを知りたいという方は、以下の項目で各製品を比較してみましょう。
- 解像度
- トラッキングの種類
- 対応するソフトウェアやサービス
- 接続できるデバイス
ここからは、主要なVRヘッドセットのメーカーについて、それぞれの製品の特徴を解説します。
HTC
- VIVE XR Elite:最先端のVR体験を提供する高性能モデル。軽量で持ち運び可能。
- VIVE Flow:軽量でポータブル、リラクゼーションやメディア視聴に最適。
- VIVE Focusシリーズ:ビジネス向けのスタンドアローンモデル。高い自由度と柔軟性。
- VIVE Proシリーズ:プロフェッショナル向けの高解像度と快適性を兼ね備えたモデル。
HTCのヘッドセットは、装着感が良く、没入感の高いVR体験ができる点が特徴です。
たとえば、最新モデルである「HTC VIVE XR Elite」は、小型、軽量でメガネのように装着することも可能でありながら、本体単独でも高画質映像を表示することが可能なオールインワン型のヘッドセットです。
比較的低価格で自宅でも高い没入感でVRを体験できる製品の一つであり、VRChatなどを利用するならおすすめの製品です。
他にも、PC接続型で、高解像度ディスプレイと広い視野角が特徴のハイエンドモデル「VIVE Pro」シリーズや、遠隔地からのデバイス管理が可能で、アミューズメント施設での導入が多い「VIVE Focus」シリーズなどがあります。
ビジネスユースから、カジュアルに楽しみたい方まで、様々なラインナップを取り揃えているため、幅広いユーザーにおすすめのメーカーです。
PICO(ピコ)
- PICO 4:バランスの取れたデザインと高い快適性を特徴とするコンシューマ向けVRヘッドセット。
- PICO 4 Enterprise:商用利用可能で、ビジネス向けに最適化されたPICO 4の仕様に加え、アイトラッキングセンサーおよび、フェイストラッキングセンサーを備える。
- PICO Neo3 Pro/Pro Eye:ビジネス用途に特化した機能を備えたプロフェッショナルモデル。
- PICO G3:ビジネス向けのみの展開で、必要最小限の仕様で耐久性の高いVRヘッドセット。
PICO(ピコ)は、TikTokなどを提供しているByteDance社が開発しているVRヘッドセットです。
ビジネス向けでの導入が多く、ビジネス向けモデルでのみ使用可能な「PICO Business Suite」が無料で使用できることが大きな特徴です。
PICO Business Suiteとは、放送制御プログラム、ライブストリーミング、自動再生プログラム、カスタマイズされたホーム画面およびその他ソリューションがあり、これらは教育、研修、マーケティングなどの分野で適用され、多くの企業から高い評価を得ています。
ARヘッドセット
ARヘッドセットは、現実世界にデジタル情報を付け加えて表示するという特徴から、サングラスのような透過型のディスプレイが搭載されているものが主流です。
ARヘッドセットを選ぶ際は、以下の点に注目してみましょう。
- 解像度
- 視野角
- 内蔵センサーの種類
ここからは、主要なARヘッドセットのメーカーについて、それぞれの製品の特徴を解説します。
Lenovo(レノボ)
- ThinkReality A3:ビジネス向けのARヘッドセットで、遠隔作業支援、マニュアルの投影など、多様な業務用途に対応。
- Legion Glasses:ゲームやエンターテインメント向けに設計された1920×1080ドット表示対応のマイクロOLEDを左右に1つずつ搭載したメガネ型ARヘッドセットで、楽な姿勢で大画面ゲーミング/映画視聴体験が可能(日本での発売時期未定)
Lenovo(レノボ)といえば、安価なPC製品に目がいきがちですが、ARヘッドセットもいくつかリリースしています。
例えば、「ThinkReality A3」は、IP54準拠の防水性があり、8MPカメラを内蔵することで、現場作業者の視線を共有した遠隔支援が可能です。
また、高性能ながらも約130グラムという軽量さも魅力の一つで、折りたたむことも可能です。
持ち運びがしやすいため、さまざまな場面で非常に使いやすいARヘッドセットとなっています。
さまざまな工業分野や流通業・製造業などの現場でも既に導入されており、トレーニングや3Dデータ可視化により評価されています。
Vuzix(ビュージックス)
- Vuzix M400:Android OS搭載で単独動作可能。ハンズフリー作業で作業を快適に。
- Vuzix Z100:スタイリッシュで軽量、AI連携で作業効率向上を実現。長時間バッテリーで日常生活から業務までサポート。
- Vuzix Blade 2:汎用性の高いARスマートグラスで、幅広いアプリと互換性あり。
- Vuzix Shield:プロ向けの高機能モデル。堅牢な作りで産業現場でも活躍。
Vuzix(ビュージックス)は、主に法人向けのARヘッドセットを開発しています。
なかでも製造・医療・物流といった現場での活用を想定して開発された「M400スマートグラス」は、高性能プロセッサ・有機ELディスプレイを搭載しながらもAndroid OSで操作できるため扱いやすい製品です。
また、音声操作などハンズフリー操作への対応や、防水防塵性能が備わっているのでさまざまな現場で利用しやすいARヘッドセットであるといえるでしょう。
なお、本体は86グラムと軽量であるものの、長時間利用を想定する場合はバッテリーの重量が加わるため注意が必要です。
MRヘッドセット
MRヘッドセットは、現実世界の空間マッピングや、映像の合成処理を行う必要があるので、高性能デバイスが多い傾向にあります。
MRヘッドセットを比較する際は、以下の項目に注目すると良いでしょう。
- 解像度
- 視野角
- ビデオパススルーカメラの画素数
ここからは、主要なMRヘッドセットのメーカーについて、それぞれの製品の特徴を解説します。
Meta(メタ)
Meta(メタ)は、XR技術を活用したインターネット上の仮想空間「メタバース」を事業の柱とする企業です。
元々の社名はFacebookでしたが、2021年10月にMeta(メタ)に名称変更しています。
Metaの最新MRヘッドセットである「Meta Quest 3」は、旧モデルの「Meta Quest 2」からプロセッサやディスプレイ解像度・画角が強化され、手の動きだけで基本操作ができるなど操作性も向上しています。
また、ビデオパススルーカメラや深度センサ―が追加され、より現実世界の物体を自然に認識して没入感の高いMR体験が可能です。
「Meta Quest 3」は既にXRヘッドセットの代名詞ともいえる存在になっており、XR市場に与える影響も大きいと考えられています。
すでに認知度を獲得している企業であるため、今後MetaによるXR関連の新製品・新サービスは、多くの人がXR分野に関心を持つきっかけにもなるでしょう。
Varjo(ヴァルヨ)
- XR-4:片眼あたり4K解像度のディスプレイと120度×105度の視野角で業界最高レベルのエンタープライズ向けヘッドセット
- XR-4 Focal Edition:オートフォーカスカメラの搭載により、強化されたビデオパススルー映像を表示可能なシミュレーター向けエディション
- XR-4 Secure Edition:政府・防衛産業向けに設計された、貿易協定(TAA)認定製品に準拠したエディション
Varjo(ヴァルヨ)が取り扱うMRヘッドセット「XR-4」シリーズは、専門職向けに開発された、業界最高レベルで、人間の眼レベルの解像度を実現するデバイスです。
ミニLEDの採用により、ディスプレイ輝度が200ニト、コントラスト比は1:10000、色域はDCI-P3:96%をカバーしています。
そのほかにも、旧モデルよりも50%広くなった120度×105度の視野角や、デュアル20メガピクセルカメラ、8倍向上したLiDAR解像度など、大幅な強化がされました。
XRヘッドセットは「トラッキングセンサー」の精度と種類で選ぼう!
さまざまな製品が開発されているXRヘッドセットですが、「トラッキングセンサー」の精度に注目して選ぶのがポイントのひとつです。
トラッキング精度とセンサーの種類が豊富な製品を選ぶことで、より直感的な操作で没入感の高いXRを体験できます。
ここでは、そもそもトラッキングとは何か、またトラッキングセンサーの種類について解説します。
トラッキングとは?
トラッキングとは、人間の体や顔の動きなどを感知して、追尾する技術を指します。
XRヘッドセットは、内蔵されているセンサーを使ってトラッキングを行うことで、ユーザーの動きに合わせた映像を映し出し、没入感を高めているのです。
XRヘッドセットによるトラッキングの種類には、「3DoF」と「6DoF」の2つがあります。3DoFとは、主に「頭」の動きの上下・左右・傾きの3パターンを感知できるものです。6DoFは、頭の動きに加えて「体」の上下・左右・傾きを合わせた6パターンを感知できるものを指します。
また、頭の動きだけでなく、さまざまな体の動きをトラッキングできるXRヘッドセットもあります。
ここからは、トラッキングできる体の部位ごとに以下4種類のトラッキング(アイトラッキング、フェイストラッキング、ハンドトラッキング、ボディトラッキング)について、さらに詳しく見ていきましょう。
アイトラッキング
アイトラッキングとは、ユーザーの視線や瞳の動きを追跡する技術です。
アイトラッキングを活用すると、ユーザーは視線だけでオブジェクトを選択したり、メニューを操作したりできます。
XRでは、ユーザーの視線に合わせて映像を動かしているため、アイトラッキングは没入感を高めるために非常に有効です。
デバイスによっては、瞳の動きをトラッキングすることによるフォーカスの自動調整機能や、視線の動きから適切なコンテンツを自動的に表示する機能なども備えています。
このように、アイトラッキングは、より自然なXR体験を可能にするための重要な技術なのです。
フェイストラッキング
フェイストラッキングとは、ユーザーの顔の動きや表情を捉える技術です。
表情を読み取ることで、ユーザーが笑っているのか、驚いているのか、悲しんでいるのかといった感情に関するデータを取得します。
ここで取得した感情のデータは、たとえば仮想空間内でアバターの表情を変化させるために活用でき、非言語のコミュニケーションなどで有効です。
また、口元の動きを正確に捉えることで、文字起こしをより正確にするメリットにも繋がります。
仮想空間でのコミュニケーションは、主にインターネット上で行われ、さらに異なる言語間でも行われることもあるので、自動翻訳をより自然に行う際にも役立ちます。
ハンドトラッキング
ハンドトラッキングとは、ユーザーの手の動きやジェスチャーを追跡する技術です。
従来のXRデバイスでは、コントローラーを直接手で操作する必要がありましたが、ハンドトラッキング技術を用いることでジェスチャーによる操作が可能になります。
また、手の動きは現実世界でも頻繁に行うアクションであるため、身振り手振りを仮想空間上に表現できることは没入感の向上にもつながります。
このように、ハンドトラッキングはXR体験の可能性を広げるものとして欠かせない技術なのです。
ボディトラッキング
ボディトラッキングとは、全身の動きをトラッキングし、そのデータをXR環境にリアルタイムで反映する技術です。
ユーザーは身体全体を使ってXRデバイスへの入力ができるため、全身の動きが仮想空間上で違和感なく再現できます。
また、ボディトラッキングは、スポーツトレーニングやパフォーマンスの分析などにも応用されている技術です。
身体の各部の動き・姿勢・ジェスチャーなどを高精度に取得できるため、身体の動きを客観的に分析したうえでスポーツやリハビリなどに応用できます。
最近のVRでは「触覚」に対応したデバイスも
近年では、メタバース技術の進化に伴い「嗅覚」や「触覚」といった仮想空間での体験が難しい感覚も、実現に向けて研究が進められています。
特に「触覚」は、既に実用化もされており、いくつか注目しておきたい製品もリリースされている現状です。
ここでは、触覚にはたらきかけるXRデバイスについて3つの事例を紹介します。
ゲーム中の触感や刺激をリアルに再現「bHaptics」
韓国のbHaptics社が開発した「TactSuit X40」や「TactGlove」は、VRゲームやアプリケーション内で起こったことを、触感や刺激として再現できるデバイスです。
TactSuit X40は体に装着するベスト型のデバイスで、40箇所の触覚フィードバックポイントを備えています。ゲーム内での銃撃や爆発といった衝撃をリアルタイムに体感でき、これまでにない没入感を再現可能です。
TactGloveは、手に装着するグローブ型のデバイスです。仮想空間で自身のアバターが物体に触れた感覚を振動で細かく再現するほか、ハンドトラッキング機能も備えており、コントローラーを持たずにXRデバイスの操作ができます。
主に、VRゲームなどのエンターテイメント用に開発されている製品ですが、リハビリなどの健康分野への応用が模索されています。
VRやロボットに触覚を付与できるグローブ型デバイス「HaptX」
HaptX社が開発した「HaptX」シリーズも、VRやロボットに触覚を付与できるデバイスとして注目されています。
同社の「HaptX Gloves G1」は、空気圧を利用してリアルな触覚を体験できるグローブ型のデバイスです。
XRやロボット工学の分野で物理的な触感を体験できるよう、コンプレッサーによる圧縮空気を精密に制御して刺激を再現しています。
HaptXは、医療・教育・エンジニアリングなど、多岐にわたる分野で応用が期待されているデバイスです。例えば、医療トレーニングを行う際には、実際の人体組織の感触を再現することで、仮想空間上でもリアルなトレーニングが可能となります。
HaptXの活用により、さまざまな分野で人間の触覚にはたらきかける開発が進められていくでしょう。
手の動きをリアルタイムで正確に再現「Leap Motion Controller 2」
「Leap Motion Controller 2」は、業界をリードするUltraleap社によって開発された最先端のハンドトラッキングセンサーです。
本デバイスを使えば、手の動きを瞬時に感知し、マウスやキーボードに代わる直感的なインターフェースでコンピューターやデジタルデバイスを操作できます。
これにより、デジタルコンテンツとのインタラクションが、これまでにないほど自然かつスムーズに行えるようになります。
トレーニング、デザイン、教育、医療、サイネージなど、さまざまな分野での応用が可能で、トレーニングやプレゼンテーションの効果を劇的に向上させることが可能です。
高い互換性も特徴の一つで、Windows、macOS、Android XR2といった主流のOSに対応しています。
PICOシリーズやHTC VIVE、Varjoなど、幅広いヘッドセットに対応しているので、ハンドトラッキングセンサーをビジネスに取り入れたい方はぜひ一度検討してみてください。
UltraleapのLeap Motion Controller 2を確認する
XRの最新活用事例3つ
XRはさまざまな分野で活用されていますが、具体的にどのような使い方をしているのでしょうか。
ここでは、XRの最新活用事例を3つご紹介します。
事例① 業務用ドライビングシミュレータ | VI-grade&Varjo社
VI-grade社の業務用ドライビングシミュレータは、自動車開発において不可欠なツールとして広く利用されています。
2024年2月8日から、同社のシミュレータはVarjo社のXRヘッドセットを統合することで、シミュレータの没入感とリアリズムが飛躍的に向上しました。
VI-gradeのドライビングシミュレータは、ライド&ハンドリング、NVH、ADAS、HMIなどの分野でその有効性が高く評価されています。
VarjoのXR-3およびXR-4ヘッドセットをVI-WorldSimに組み込むことで、シミュレーション環境は現実的なマルチエージェントAIの交通行動とセンサーフュージョンを提供します。これにより、車両の設計や制御アルゴリズムのテストが、より効率的かつ正確に行えるようになりました。
VI-grade社とVarjo社の協業により、自動車メーカーは試作品の製作や実地試験にかかるコストを削減し、より迅速かつ効果的な開発プロセスを実現可能です。
(出典:VI-gradeとVarjoがHMI開発を加速するために共同開発 | VI-grade)
事例② 労働災害を擬似体験「安全道場VR®」 | TOPPAN印刷(凸版)
「TOPPANの安全道場VR®」は、製造現場で発生し得る労働災害をVR(バーチャルリアリティ)で体験できる革新的な安全教育ツールです。実写の360度映像を使用して、10種類の労働災害を疑似体験することができます。
例えば、カッター作業や機械回転部作業、高所作業など、現実の職場で起こりうる危険な状況を再現し、労働者が直面する可能性のあるリスクをリアルに体感可能です。
2023年5月にリニューアルされており、化学薬品取り扱い事例を3つ追加し、外部ディスプレイ出力機能を備えた新端末にバージョンアップしました。これにより、講師や他の受講者が体験者と同じ映像を見ながら学習することが可能となり、集合研修においても効果的な使用が期待できます。
このオールインワンパッケージは、到着したその日から複雑な設定なしで使用可能です。VRヘッドセットと再生アプリがセットになっており、外部機器を必要としません。
TOPPANの「安全道場VR®」は、製造業をはじめとする多くの企業に導入され、安全教育の効果を高めています。
(出典:VR危険体験で安全教育!「安全道場VR®」 | TOPPAN)
事例③ ハンドトラッキングカメラを採用した安全教育「RIMM」 | 三徳コーポレーション
三徳コーポレーションの「RiMM」は、XR技術を駆使した先進的な災害体験VRツールです。既に400社以上の企業で導入され、33業種に対応しているので多岐にわたる業種で活用可能です。
RiMMの特徴としては、災害ケーススタディ、感受性向上・災害体感、安全向上・気づき教育の3ステップ教育プログラムが挙げられます。
特に、VRゴーグルを装着することで実際の災害現場を仮想的に体験できるため、受講者は「怖い」「嫌だ」といった心理的反応を通じて、危険の実感を深められます。こういった心理的効果は、従来の講義形式の教育では得られない強い印象を与え、受講者の記憶に残りやすいです。
また、2024年3月25日より、最新のハンドトラッキングカメラ「Leap Motion Controller 2」を採用。これにより、さらにコンパクトで手軽に安全教育ができるようになりました。
(出典:「RiMM VR体感」 ハンドトラッキングカメラモデルチェンジ | RiMM.ai)
XRをビジネス活用するのにおすすめの製品
XR技術というのは最先端技術であるため、ビジネスに活用するならさまざまな周辺機器を取り揃えなければなりません。
ここでは、XR周辺機器で人気の製品をいくつかピックアップしてご紹介します。
VR体験をありとあらゆる場所で「VR GO」
ZOTAC社の「VR GO」は、VR、AR、MR体験をありとあらゆる場所で利用できるようになるバックパック型PCです。
通常、VRは高いデータ処理性能が必要とされるため、サーバー環境などが整った特定の場所での使用が余儀なくされますが、VR GOを使用することで場所の制約を受けません。
最新モデルの「VR GO 4」では、NVIDIA RTXグラフィックボードによるリアルタイムレイトレーシング、最新のCUDAコアを搭載しています。また、第2世代RTコアと第3世代Tensorコアにより、より高速で視覚的に正確なレンダリングが可能になります。
デザイン面では、快適に使用できるように、均等な重量配分、拡張された背面サポートなどが特徴です。汗をかいても簡単に拭き取れる素材を使用し、金属製のプラットフォームにより、激しく動いても迅速に反応する安定接続を実現しています。
高負荷のデータ処理にも対応「Lenovo社製ワークステーション」
Lenovo社は、年間売上高620億米ドルを誇る世界的なPCメーカーです。
一般的なPCだけでなく、より高性能なワークステーションのラインナップも豊富で、中でも「ThinkStation Pシリーズ」は、AMD Ryzen Threadripper PROや最新世代のIntel Xeonプロセッサ、NVIDIA RTXグラフィックスと組み合わせることで、強力なパフォーマンスを提供します。
最新モデルの「ThinkStation PX」は、最大120コアを搭載可能な第4世代Intel Xeonスケーラブルプロセッサ、最大4基のNVIDIA RTX 6000 Ada 世代 GPUを搭載。これにより、複雑なVR、AR、およびMR環境のリアルタイムレンダリングやシミュレーションが可能になります。
また、LenovoのワークステーションはISV認証を受けており、主要な業界標準ソフトウェアとの互換性も保証されているので、導入後に拡張するニーズにも応えます。
360度カメラといえばコレ「Insta360」
Insta360は、中国深センを拠点に活動する世界的な360度カメラ(全天球カメラ)メーカーです。
同社の提供する360度カメラ「Instas360」シリーズは、現状世界シェアNo.1を誇り、VR撮影機器の定番中の定番となっています。
360度カメラは、全方位を一度に捉えることができるため、VRやAR、MRなどのXR体験を創出する上で欠かせません。ビジネス用のラインナップとしては、TITAN、Pro 2、Proといった360度カメラをラインナップしており、大型センサーや高度な手ブレ補正、9軸ジャイロスコープ、11Kの超高画質撮影や8K動画撮影などが特徴です。
映画で見るような360度スローモーション映像を簡単に制作できる「バレットタイム撮影」や、強力な手ブレ補正と360度水平維持が可能なため、ビジネスユーザーのみならず一般ユーザーにもおすすめできる製品となっています。
XR(クロスリアリティ)のビジネス活用は今後も加速
本記事では、XR(クロスリアリティ)の基本概念からVR、AR、MRの違い、教育現場での活用例、主要メーカーとその製品、トラッキング技術の重要性、最新の活用事例を徹底解説しました。
XRは、リアルとバーチャルの境界を曖昧にし、教育、ビジネス、エンターテイメントなど多岐にわたる分野で革新的な体験を実現する技術です。今後、XR技術はさらに進化を遂げ、よりリアルなトラッキング、触覚フィードバックの改善、視覚と聴覚を超えた感覚の統合など、ユーザー体験の向上に寄与することが期待されます。
ただし、XRはまだまだ新しい技術であり、発展途上な面も否めません。そのため、XRをビジネス活用するのなら、最新の動向には常に目を光らせておきましょう。
また、XRのビジネス活用に関するお困りごとやご相談があるようでしたら、以下のリンクから無料で承っているので、ご連絡をお待ちしております。
監修者:麻生哲
明治大学理工学部物理学科を卒業後、ITベンチャーにて多数のプロジェクトを成功に導く。子会社を立ち上げる際には責任者として一から会社を作り上げ、1年で年商1億円規模の会社へと成長させることに成功。現在は経験を活かし、フリーランスとしてコンテンツ制作・WEBデザイン・システム構築などをAIやRPAツールを活用して活動中。
※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
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