2024年、新たな電子帳簿保存法が施行され、ビジネスのデータ管理は一新されます。
この法律の改正は、企業のデータ保存に革命をもたらし、業務効率化やコスト削減のチャンスを提供しますが、同時に新たな義務やリスクも生じることには注意が必要です。
本記事では、電子帳簿保存法の基本から改正内容、メリット・デメリット、そして法律遵守のための具体的なステップに至るまで、初心者の方でも理解できるよう詳細に解説します。
また、法改正に対応するためのおすすめ商品もご紹介しますので、ビジネスパーソンはもちろん、これからビジネスを始める方もぜひご一読ください。
新しい時代のデータ管理を、正確に、効率的に進めていきましょう。
目次
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法は、企業や個人事業主が遵守すべき重要な法律の一つです。
特に2023年の改正により、2024年からは電子取引データの電子保存が義務化されています。
本項では、保存区分、対象書類、対象者といった要点をわかりやすく解説していきます。
保存区分は3つに分けられる
電子帳簿保存法(通称:電帳法)には、保存すべき文書や帳簿を電子形式で保管する方法として、主に以下の3つの保存区分が存在します。
- 電子帳簿等保存
- スキャナ保存
- 電子取引データ保存
電子帳簿等保存
この区分では、会計ソフトなどで自ら作成した帳簿や、決算に関する書類を電子データのまま保存します。
具体的には、デジタルフォーマットで作成した資料をそのまま電子形式で保管しなければなりません。
スキャナ保存
紙で受け取った文書、たとえば請求書や領収書を、スキャンして画像データとして保存する方法です。
紙の文書をデジタルデータに変換し、それを保存する形になります。
電子取引データ保存
電子的にやりとりした取引情報を、そのまま電子データとして保存する区分です。
特に、2024年からはこの区分が重要になる予定で、領収書や請求書など、以前は紙で保存する必要があったものを電子データで保存する必要が生じます。
各区分にはそれぞれ独自の保存要件があり、これに従わなければならない点に注意が必要です。
特に2023年以降、電子取引データの保存が強化されるため、どの区分に該当するのかをしっかりと理解しておきましょう。
対象書類
事業運営には多くの書類が関わりますが、電子帳簿保存法にはそれぞれの保存区分に応じた「対象書類」が定められています。
電帳法に取り組む際に、どの書類をどのように保存すべきかというのは一つの疑問でしょう。
各保存区分における対象となる主な書類については、以下の一覧表をご活用ください。
保存区分 | 主な対象書類 |
---|---|
電子帳簿等保存 | 仕訳帳、総勘定元帳、売掛帳、買掛帳、現金出納帳、固定資産台帳、貸借対照表、損益計算書、棚卸表等 |
スキャナ保存 | 契約書、納品書、請求書、領収書、見積書、注文書、検収書等 |
電子取引データ保存 | 注文書、契約書、見積書、領収書、送り状等 |
一つ一つの保存区分には、それぞれ特定の書類が含まれます。
「電子帳簿等保存」では国税関連や決算関係の文書が対象です。
一方で、「スキャナ保存」は紙で受け取った取引関連の文書が対象となり、「電子取引データ保存」は電子的に交換された文書が該当します。
このように各区分で対象書類があり、それぞれに適した保存方法が存在するのです。
確認しておかなければならないのは、これらの文書がどの保存区分に該当するか、そしてそれに基づいてどう保存するかです。
上記の表を参考に、自社の事業にどの書類が該当するのか確認し、適切な保存策を講じましょう。
対象者
電子帳簿保存法(電帳法)は、特定の事業者に対して帳簿や書類を電子的に保存する義務を課しています。
では、どのような事業者が対象となるのでしょうか。
令和3年12月末の改正までは適用の範囲は限られていましたが、令和4年1月からは、電子データで帳簿や書類を保存する事業者全般と、電子取引を行う事業者が主に該当します。
具体的には、令和4年1月以降に帳簿や書類の電子保存を開始する事業者は、その保存データが書面でない場合、電帳法の適用を受けることとなります。
また、電子取引を行う事業者も、電帳法の適用範囲内です。
電子取引とは、たとえばネット上での取引や電子メールでの情報交換など、紙以外の方法で行われるほとんどの取引を指します。
ただし、法の施行に伴う一時的な措置として、電子取引情報を紙で出力して保存する方法が令和5年末まで認められています。
この期間終了後、紙での保存が廃止となる点は、特に注意が必要です。
2023年に改正された内容
電子帳簿保存法は、2023年に一部内容が改正されているので注意が必要です(施行は2024年1月1日から)。
ここでは、2023年に施行された電子帳簿保存法の改正内容と、それに伴う新たな規定や要件について解説します。
(参考:令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要 |国税庁)
電子帳簿保存の改正内容
項目 | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
優良な電子帳簿の範囲 | 限定的、厳格な要件を満たす必要あり | 一部の帳簿について要件が緩和され、範囲が拡大 |
改ざん防止要件 | すべての帳簿に適用 | 特定の帳簿にのみ適用 |
検索機能要件 | すべての帳簿に適用 | 特定の帳簿にのみ適用 |
保存要件 | 厳格 | 一部の帳簿について緩和された |
運用の柔軟性 | 限定的 | 改正により向上 |
改正内容のポイント
- 優良な電子帳簿の範囲の再定義
- 改ざん防止要件の緩和
- 検索機能要件の緩和
- 保存要件の軽減
2023年の電子帳簿保存法の改正により、優良な電子帳簿の範囲が再定義され、一部の帳簿については改ざん防止や検索機能等の要件が緩和されました。
これにより、企業はコンプライアンスを保ちつつ、より効率的に業務を遂行できるようになります。
具体的には、特定の帳簿において、保存時に満たすべき要件が軽減され、運用の柔軟性が向上しています。
これらの変更は、デジタル化の進展とともに、企業の運用の効率化とコスト削減を実現するために重要なものです。
スキャナ保存の改正内容
項目 | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
情報の保存要件 | 解像度・階調・大きさの情報保存必要 | 不要 |
入力者情報の確認 | 必要 | 不要 |
相互関連性の確保 | すべての書類に適用 | 重要書類に限定 |
改正内容のポイント
- 解像度・階調・大きさに関する情報の保存不要
- 入力者等情報の確認要件不要
- 重要書類に限定された帳簿との相互関連性の確保
2023年の改正により、スキャナ保存においてもいくつかの要件が緩和されました。
これにより、企業は紙の書類をスキャンして保存する際の手続きが簡素化され、業務効率が向上します。
具体的には、スキャンした国税関係書類の解像度・階調・大きさに関する情報の保存が不要となり、入力者等情報の確認要件も不要とされました。
電子取引の改正内容
項目 | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
検索機能のすべてを不要とする措置 | 限定的な対象者 | 対象者の見直しにより拡大 |
猶予措置 | なし | 新たに整備 |
宥恕措置 | 存在 | 廃止 |
改正内容のポイント
- 検索機能のすべてを不要とする措置の対象者の見直し
- 新たな猶予措置の整備
- 「宥恕措置」の廃止
2023年の電子帳簿保存法の改正において、電子取引データの保存に関する要件も見直されています。
これにより、企業は電子取引データの管理と保存がより効率的かつ柔軟に行えるようになります。
具体的には、検索機能のすべてを不要とする措置の対象者が見直され、新たな猶予措置が整備されました。
電子帳簿保存法改正の背景とは
新型コロナウイルスの感染拡大が、電子帳簿保存法の改正の主な要因となっています。
感染症の拡大を受け、テレワークの推進や業務の電子化が急務となり、政府はデジタル化の取り組みを強化しました。
また、1998年の電子帳簿保存法施行から23年、社会のデジタル化の進展や経済の変化を反映することも改正理由の一つといわれています。
経理の電子化による生産性の向上やテレワークの推進、クラウド会計ソフトの活用が急務となっている中、このような動きは必然かもしれません。
つまり、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が必要とされ、その結果、大幅な改正が実施されたというわけです。
電子帳簿保存法のメリット・デメリット
電子帳簿保存法の導入は、企業にとってコスト削減や業務効率化をもたらす一方で、初期投資や運用コスト、社内教育の手間も伴います。
本セクションでは、これらのメリットとデメリットを詳細に解説し、企業が法律に対応する際の参考となる情報を説明します。
電子帳簿保存法のメリット
企業が電子帳簿保存法に対応するメリットは以下の5つです。
- メリット① コスト削減
- メリット② 業務効率化
- メリット③ 環境配慮
- メリット④ リモートワークの促進
- メリット⑤ データ分析による戦略的意思決定
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
メリット① コスト削減
電子帳簿保存法の導入により、紙の帳簿や書類を保管するためのスペースや、印刷・複製にかかるコストを大幅に削減できます。
これにより、企業は他の重要な業務や投資にリソースを振り分けることが可能となり、経済的な利益を享受できるでしょう。
また、紙の消耗を抑えることで、環境にも優しい経営が実現します。
メリット② 業務効率化
電子帳簿保存法に対応することで、書類の検索や共有がデジタル上で瞬時に行えるようになります。
これにより、従業員は書類の整理や検索にかかる時間を大幅に削減でき、より本来の業務に集中することが可能です。
また、データの一元管理が可能になり、情報の整合性が保たれるようになるため、業務の品質向上が期待されています。
これは、企業の生産性向上に直結し、競争力の強化に寄与できるので無視できないメリットといえるでしょう。
メリット③ 環境配慮
電子帳簿保存法の適用により、企業は紙の使用を大幅に減少可能です。
これにより、紙の生産や廃棄に伴う環境への負荷が軽減され、企業の環境保護への貢献が期待できます。
また、紙の消費を抑えることで、企業は持続可能な経営を推進でき、環境に配慮した企業イメージの向上も図れます。
これは、顧客や取引先からの信頼向上にも繋がり、長期的なビジネスの発展に寄与するでしょう。
メリット④ リモートワークの促進
電子帳簿保存法によるデジタル化は、リモートワークやテレワークの推進にも寄与します。
書類がデジタル化されることで、従業員はオフィスにいなくてもアクセスし、業務を遂行可能です。
これにより、柔軟な働き方が可能となり、従業員の生産性や満足度の向上が期待できます。
また、リモートワークの普及は、オフィスの運営コストの削減や、新型コロナウイルス等の感染症対策にも有効です。
メリット⑤ データ分析による戦略的意思決定
電子帳簿保存法の導入により、企業は膨大なデータを効率的に管理・分析できるようになります。
これにより、企業はデータドリブンな意思決定を行うことが可能となり、より正確かつ迅速なビジネス戦略の策定が可能です。
データ分析を通じて、市場のトレンドや消費者のニーズを把握し、新たなビジネスチャンスを発見できるでしょう。
これは、企業の競争力を高め、持続的な成長を支える重要な要素となります。
電子帳簿保存法のデメリット
電子帳簿保存法のデメリットは以下の3つです。
- デメリット① 初期投資と運用コスト
- デメリット② 社内教育などの手間
- デメリット③ 情報漏洩のリスク
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
デメリット① 初期投資と運用コスト
電子帳簿保存法に対応するためには、初めにシステムの導入やセットアップに関する投資が必要です。
これには、ハードウェアの購入やソフトウェアのライセンス料、セキュリティ対策のコストなどが含まれます。
また、システムの運用・維持にも継続的なコストが発生し、これらは企業の負担となり得るでしょう。
特に中小企業にとっては、イニシャルコストとランニングコストは重大な影響を与える可能性があり、慎重な計画とバジェットの確保が求められます。
デメリット② 社内教育などの手間
電子帳簿保存法に適合するためのシステム導入には、従業員への新しいシステムやツールの使用方法に関する教育・トレーニングが不可欠です。
これには時間と労力がかかり、特に初期段階では生産性の低下が懸念されます。
また、全従業員が新システムに適応するまでの間、業務の混乱やミスの発生も考えられます。
これらの課題を克服するためには、十分なサポート体制と継続的な教育が必要であることは理解しておきましょう。
デメリット③ 情報漏洩のリスク
電子帳簿保存法によるデータのデジタル化は、情報漏洩のリスクを高める可能性があることは注意しておくべきです。
不正アクセスやサイバー攻撃によって、機密情報が第三者に漏れることで、企業の信用失墜や法的な問題が生じる恐れがあります。
これを防ぐためには、強固なセキュリティ対策と従業員のセキュリティ意識の向上が不可欠です。
セキュリティ対策の強化と維持にはコストと労力がかかり、これが企業の負担となることも考慮する必要があるでしょう。
電子取引データの保存方法・流れ
次は「電子取引データをどのように保存するのか」について解説いたします。
以降では、具体的な流れについて順を追って説明するので、ぜひご参考ください。
ステップ① 事前準備
事前準備では、まず電子取引データを保存する目的を明確にしましょう。
目的の確認は、税務調査の際の確認や企業内での情報共有がスムーズに行えるようにするために重要です。
また、どのデータを保存すべきかを特定する必要もあります。
対象となるデータを明確にし、それに基づいてシステムの導入やデータ管理方法の検討を行います。
このステップでの適切な準備と計画は、後続のステップでの作業効率やデータ管理の正確性に直結するので入念に行いましょう。
対象データ例
売上データ | 商品やサービスの売上に関するデータ |
購入データ | 商品やサービスの購入に関するデータ |
請求書 | 顧客に対する請求に関するデータ |
領収書 | 支払いの受領に関するデータ |
契約書 | 取引の契約内容に関するデータ |
送り状 | 商品の発送に関するデータ |
注文書 | 商品やサービスの注文に関するデータ |
在庫データ | 商品の在庫状況に関するデータ |
顧客情報 | 顧客の基本情報や取引履歴に関するデータ |
従業員情報 | 従業員の基本情報や勤務履歴に関するデータ |
ステップ② システム要件の確保
対象となるデータの特定が完了したら、それらのデータを効率的に保存・管理するためのシステム要件を確保します。
以下の点を考慮したシステム要件を確保しましょう。
- データの容量
保存するデータの量に応じて、ストレージの容量を確保する必要があります。将来的なデータ増加も見越して、余裕を持った容量の確保を心がけましょう。 - セキュリティ
顧客情報や取引データなど、機密性の高い情報を保存する場合、データの漏洩や不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策が必須です。 - バックアップ
データの喪失を防ぐため、定期的なバックアップを行うシステムを導入することが推奨されます。 - アクセス速度
データの参照や更新が頻繁に行われる場合、高速なアクセスが可能なシステムを選択することで、業務の効率化が図れます。 - 拡張性
企業の成長や業務の変化に合わせて、システムを拡張やカスタマイズが可能なものを選ぶと、長期的な運用がスムーズに行えます。
これらの要件を満たすシステムを選定・導入することで、電子取引データの効率的な保存・管理が可能となります。
ステップ③ 検索機能の確保
検索機能の確保は、電子帳簿保存法に準拠する上で不可欠です。
このステップでは、取引の詳細を迅速に特定できるよう、「取引年月日」「取引金額」「取引先名」を含む規則的なファイル名の割り当てが必要です。
これにより、文書の内容が一目で理解可能となり、取引相手も迅速に文書の内容を把握できます。
また、専用のシステムを導入することで、検索要件をより効率的に満たし、索引簿の作成やファイル名の割り当ての手間を省くことが可能です。
適切な検索機能の確保は、税務調査時の迅速かつ正確なデータ提供を可能にし、企業の信頼性を高めます。
ステップ④ データの真実性の担保
電子帳簿保存法に対応する際、電子データの真実性を保証することは極めて重要です。
真実性を担保するためには、以下のポイントを考慮しましょう。
- タイムスタンプの活用
データが作成・変更された日時を明確に記録することで、後からの改ざんを防ぐ手段としてタイムスタンプを利用することが推奨されています。特に認定タイムスタンプは、第三者機関が発行するもので、その信頼性が高いとされています。 - 事務処理規程の策定
改ざん防止のための手順やルールを明文化し、従業員に周知徹底することで、データの真実性を維持することができます。 - 堅固なシステムの導入
データの改ざんや削除が不可能なシステムを採用することで、データの真実性を物理的にも保護します。
これらの手段を適切に組み合わせることで、電子帳簿保存法に準拠しつつ、データの真実性を担保することができます。
各企業の状況やリソースに応じて、最適な方法を選択しましょう。
ステップ⑤ 補完とアクセス制限
電子取引データの保存において、最終的なステップとして、データの補完とアクセス制限が必要となります。
これにより、データの完全性とセキュリティを保つことが可能です。
- データの補完
データが欠損や破損していないか定期的にチェックし、必要に応じて補完作業を行います。これにより、データの完全性が確保され、必要な情報が適切に保存されます。 - アクセス制限の設定
データへのアクセスは、必要な権限を持つ者のみに限定し、不正アクセスや情報漏洩のリスクを最小限に抑えます。アクセス権限の設定やパスワードの管理には十分注意し、定期的な見直しを行うことが重要です。 - アクセスログの管理
データへのアクセス履歴を適切に管理し、不正アクセスやデータの改ざんがないかを監視します。異常なアクセスが検出された場合は、速やかに対応し、セキュリティの維持に努めましょう。
これらの措置を適切に実施することで、電子取引データの安全性と信頼性が向上し、法令も遵守できます。
電子帳簿保存法の注意点
電子帳簿保存法に適切に対応するためには、いくつかの注意点に気をつけなければなりません。
ここでは、申請とクラウドサービスを利用する際に気をつけるべき注意点について説明します。
スキャナ保存は特に気を付ける
スキャナ保存においては、細心の注意が必要です。
以下は、特に留意すべきポイントになります。
- 適切な解像度と諧調
スキャナで読み取る際の解像度は200dpi以上、諧調は原則としてカラーである必要があります。ただし、2023年の改正により、データ内にこれらの「情報」を保持する必要はなくなりました。 - 入力者情報の確認は不要
スキャナ保存時に、誰が読み取り作業を行ったかの情報確認は不要となりました。 - 重要書類の定義
スキャナで読み取った「重要書類」のみが帳簿との関連性を求められます。これには契約書や領収書など、資金や物の流れに直結・連動する書類が含まれます。 - タイムスタンプの付与
スキャンしたデータには、一定の期間内にタイムスタンプの付与が必要です。ただし、編集履歴の残るシステムを利用している場合、タイムスタンプは原則として不要です。
これらのポイントを踏まえ、適切な機器とシステムを使用し、法令遵守に努めましょう。
また、スキャナ保存の適用にあたって提出書類は不要ですが、「過去分重要書類」のスキャナ保存については届出が必要ですので、国税庁のパンフレット等で詳細を確認してください。
2021年の法改正以前に申請をしていないか確認する
2021年の法改正以前に、電子帳簿保存法の適用を申請していないか確認することも重要なので注意が必要です。
以下は、特に注意すべきポイントになります。
- 適用申請の確認
2021年の法改正以前に、既に電子帳簿保存法の適用を申請している場合、新たな申請は不要です。ただし、申請内容に変更がある場合は、変更届を提出する必要があります。 - 申請内容の変更
事業内容の変更や、保存するデータの種類の変更など、申請内容に変更がある場合は速やかに変更届を提出しましょう。 - 申請の有無の確認
法改正以前に申請をしていない場合、速やかに適用申請を行う必要があります。適用申請を怠ると、税務調査の際に不利となる可能性があります。 - 申請書類の準備
適用申請を行う際は、必要な書類を準備し、正確に記入しましょう。不備があると申請が受理されない可能性があります。
これらのポイントを注意深く確認し、必要に応じて適切な手続きを行いましょう。
なお、適用申請や変更届の提出は、税務署に直接提出するか、e-Taxを利用してオンラインで行うことができます。
JIIMA認定のクラウドサービスや会計ソフトを使う
JIIMA認定のクラウドサービスや会計ソフトの利用は、電子帳簿保存法において重要な注意点です。
JIIMA認定は、データの真実性と整合性を保証し、法的な信頼性を担保します。
認定を受けたサービスやソフトウェアは、税務調査の際にも信頼されるため、企業はこれらの利用を積極的に検討すべきでしょう。
また、JIIMA認定のサービスやソフトウェアを利用することで、データの安全性や信頼性が向上し、企業のコンプライアンスも強化されます。
しかし、JIIMA認定の取得は一定の基準と要件を満たす必要がありますので、選定の際には慎重に評価し、適切なものを選ぶ必要があります。
(参考:JIIMA認証情報リスト|国税庁)
電子帳簿保存法に対応するために
ここまで、電子帳簿保存法に関しての詳しい情報をテーマごとに紹介してきましたが、情報量が多すぎて理解が追いつかない方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、まとめとして電子帳簿保存法に対応するために最も重要なことを一覧表にしました。
以下の一覧表を参考に、電子帳簿保存法に対応するために必要なことを把握しておきましょう。
電子帳簿保存法に対応するための4つのポイント
データの信頼性と検索性の確保 | タイムスタンプでデータの信頼性を確保し、ファイル名で検索性を担保する。 |
システムの選定 | JIIMA認証を取得したシステムを利用し、法的要件を満たす。クラウド版とオンプレミス版の選定が可能。 |
保存方法の選定 | 「日付・金額・取引先」での検索機能の確保が必要。証憑収集・保管システムの利用が推奨される。 |
法令の確認 | 電子帳簿保存法の最新の法令や制度を確認する。 |
電子取引データの電子保存におすすめの導入商品
電子帳簿保存法の遵守は事業者の方にとって必要不可欠であることは理解して頂けたかと思います。
しかし、「どんな製品が自社に合うのかわからない」という方も多いかと思います。そんな方のために、ここでは当社の取り扱い商品の中から、電子取引データの保存におすすめの商品についてご紹介します。
以下の3つの製品は、大企業から中小企業まで対応可能であるため、もし製品の選定について迷ったのなら検討してみる価値があるでしょう。
①DiskStation DS723+
DiskStation DS723+がおすすめな理由
- AES-NI ハードウェア暗号化エンジンを搭載し、高度なセキュリティを実現
- Windows、Mac、Linuxでの迅速なファイル共有が可能
- 最大7台のドライブまで拡張可能で、データ量の増加にも柔軟に対応
DiskStation DS723+は、ビジネス向けのデータ保存装置で、2つのハードドライブを取り付けることが可能です。
大量のデータを安全に保存できるだけでなく、異なるコンピューターやデバイス間でデータを共有することもできます。
電子帳簿保存法に対応するためには、データの安全性やアクセスのしやすさが求められます。
DiskStation DS723+は、AES-NIハードウェア暗号化エンジンという高度な暗号化技術により、仮に本体が盗難された際にも安全性を確保することが可能です。
また、異なる種類のコンピューターやデバイスでデータを共有できるため、業務の効率化にも寄与します。
さらに、データの量が増えても、追加のハードドライブを取り付けることで容易に対応できるため、長期間のデータ保存にも適しています。
②DiskStation DS923+
DiskStation DS923+がおすすめな理由
- 高い拡張性とパフォーマンスを備え、ビジネス向けのファイル管理に最適
- AMD Ryzen R1600デュアルコアCPU、4GB DDR4 ECCメモリ、AES-NI ハードウェア暗号化エンジンを搭載し、安全で高速なデータ処理が可能
- Synology High Availabilityに対応し、システムの安定性を高める
DiskStation DS923+は、ビジネス向けに設計された4ベイオールインワンNASキットです。
3.5/2.5インチドライブ4台の取り付けに対応し、オプションの5ベイ拡張ユニット「DX517」をeSATA接続で1台増設することが可能です。
これにより、ストレージ容量を容易に増設でき、最大9台のドライブまで拡張することができます。
特に、中小規模ビジネスにおいては、手軽で効果の高いストレージソリューションが求められるため、DS923+は一考の価値ありです。
③RackStation RS822+/RS822RP+
RackStation RS822+/RS822RP+がおすすめな理由
- 8台までのドライブを追加できるので、大量のデータも安心して保存できる
- 4つのギガビットイーサネットを持っているので、データのアクセスや保存がスムーズ
- 監視カメラのデータも保存できるので、事業の幅を広げるのに役立つ
RackStation RS822+/RS822RP+は、ビジネスに最適なストレージキットです。
大量のデータを保存できるだけでなく、スムーズにデータにアクセスできるので、日常の業務が効率的に進められます。
電子帳簿保存法に対応するには、大量の取引データを長期間保存する必要があります。同製品は、そのための十分な容量を確保可能です。
また、監視カメラのデータなど、事業の拡大に伴うさまざまなデータも一元的に管理できるので、将来的な事業拡大にも柔軟に対応できます。
Synology NASソリューションの利用がおすすめ
Synology NASソリューションがおすすめな理由
- DSM 7.2リリース Write Once機能
一度書き込んだデータの改ざんを防止!安心と信頼のデータ管理を実現 - Universal Search
効率と精度を兼ね備えた検索機能で、必要な情報を迅速に特定 - ログセンター
すべての操作履歴を詳細に記録。データの真実性と透明性を確保 - セキュリティアドバイザー
システムの安全性を常に監視し、最適なセキュリティ対策を実現
NASは、ネットワーク経由でデータアクセスを可能にするストレージシステムです。
Synology社は、この分野での世界的リーダーであり、革新的で信頼性の高い製品を提供しているため人気が非常に高いです。
DSM 7.2リリース Write Once機能
電子帳簿保存法において、データの改変や削除を防ぐことは極めて重要です。
Synology NASのWrite Once機能は、データを一度保存すると変更や削除ができなくなるため、法的要件を満たすだけでなく、データの信頼性と安全性を確保します。
さらに、オフサイトにバックアップを取ることで、データの損失リスクを最小限に抑えることが可能です。
Universal Search
電子帳簿保存法では、取引の詳細を迅速に検索できることが求められます。
Synology NASのUniversal Search機能は、取引先名や取引日、金額などの詳細情報を基にデータを迅速に検索することが可能です。
さらに、今後のバージョンアップにより、OCR機能が追加されることで、スキャンデータもテキストとして検索可能になり、データ管理の効率が大幅に向上します。
ログセンター
電子帳簿保存法において、データの真実性を確保するための履歴管理は必須です。
ログセンターは、ファイルの変更やアクセスの履歴を詳細に記録し、いつ、誰が、どのような操作を行ったのかを確認することができます。
これにより、データの透明性と信頼性が向上し、法的要件も確実に満たすことができます。
セキュリティアドバイザー
電子帳簿保存法において、データの安全性は最優先事項といえるほどに重要なものです。
セキュリティアドバイザーは、システムのセキュリティ状態を常に監視し、マルウェアの感染リスクやセキュリティホールを検出します。
さらに、最適なセキュリティ設定をアドバイスし、データの保護を最大限に強化します。
通信や認証面のセキュリティも確保され、データの長期保存にも対応することができます。
株式会社アスクは、Synology社のダイレクトパートナーとして、Synology NASソリューションの導入をサポートしています。
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まとめ
本記事では、2023年に改正された電子帳簿保存法と、2024年からの電子取引データの電子保存義務化について詳しく解説しました。
電子帳簿保存法は、企業の経営効率を向上させるとともに、環境への負荷を軽減するための重要な法律です。
しかし、対応には初期投資や運用コスト、情報漏洩のリスクなどのデメリットも存在することも忘れてはなりません。
今後、電子帳簿保存法の適用範囲はさらに広がることも想定されます。
そのため、法律の変更に柔軟に対応し、適切なシステムやツールを導入することが重要です。
この記事を通じて、電子帳簿保存法の重要性や対応策についての理解を深めていただけたら幸いです。
監修者:麻生哲
明治大学理工学部を卒業後、ITベンチャーにて多数のプロジェクトを管理。子会社を立ち上げる際には責任者として一から会社を作り上げ、1年で年商1億円規模の会社へと成長させることに成功。現在は経験を活かし、フリーランスとしてコンテンツ制作・WEBデザイン・システム構築などをAIやRPAツールを活用して活動中。
※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
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